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「不器用な子ですが、龍一郎をよろしくお願いします」
恭しくお辞儀をされ、久貴も慌てて頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
互いにゆっくりと顔をあげると、目があった。
紗衣の優しい表情に、久貴の緊張もすっかり解れていた。
「楽しそうだな」
夕食を作り終えた五木が、ソファ前のローテーブルへ料理を運ぶ。
「あ、すみません、任せっきりで」
手伝おうと立ち上がりかけた久貴の肩を、五木の手が軽く押さえて座らせる。
無言の優しさが、心地よい。
「ダイニングだと椅子が足りないから、こっちでいいか?」
「あら、2人分しかないの?
貴方らしいわね」
ふふふっと微笑まれ、久貴はまた顔を赤らめた。
五木の手料理を食べながら、暫し談笑する。
五木は紗衣や久貴の会話に仏頂面のまま興味なさげに相槌を打つだけだったが、それでもかなり機嫌が良いことは、久貴にもわかった。
まあ、紗衣の口から語られる“幼少期”の話には、眉をしかめて不機嫌さを露わにしたが。
五木の幼少時代や久貴の仕事のことなど、色々と話題は尽きない。
あっという間に夜は更けていった。
五木は明日も仕事のため、さてそろそろ切り上げようとなった時に、紗衣が久貴に声をかけた。
「久貴さん、明日は何かご予定あるの?
無ければ、観光に付き合ってくれないかしら?」
これまでの会話で、紗衣とならば2人でも大丈夫だろうと判断した久貴は、即答で了承した。
くしゃりと頭を撫でてくる五木を見上げると、いつもの無愛想な顔ではあるが、久貴を心配しているのが見て取れた。
五木のマンションは、部屋は余っているが来客を迎える仕様になっていないため、久貴の部屋を紗衣が、五木の部屋を2人が使うことになった。
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