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屁理屈を捏ねる口
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なんで二言はねぇなんて言っちまったんだか。
こいつは、自害するようなタマじゃねぇ……。
今さら悔やんでも、後の祭りだ。
性欲の捌け口にも、ストレス解消のためのサンドバックにも、なる必要はないとは言った。
だがしかし。仕事をしなくて良いと言った覚えはない。
「うるせぇ。犬猫でもあるまいし、口だけ達者で、なにも出来ない穀潰しはウチにいらねぇんだよ」
俺を見上げるフリックの額を指先で弾いた。
「……ぃっ」
デコピンされた額を押さえつつ身体を起こしたフリックは、ぅうっと唸る。
「しゃあないじゃん。今までまともに働いたコト無いんだから、社会人なんて無理だし。こんな野蛮な世界だなんて知らなかったんだもん。ナイフだの銃だのそんなおっかないの使えるわけないじゃんっ」
テーブルの上に広げられた分解済みの銃にちらりと視線をくべたフリックは、怯えるように、ぶるりと身体を震わせ、口を尖らせた。
「葵依だってウチに来てからだ」
なんの話だよ、とでも言いたげな猫目が俺を睨んでくる。
「あいつも男娼あがりだからな。銃もナイフも俺が仕込んだ」
葵依は物覚えが良かったけどな? と、比較し、小馬鹿にしてやれば、フリックは窄めた唇を、思い切り突き出した。
わかりやすい不満顔だ。
「一緒にしないでよ。僕が、あんな器用に、なんでも出来ると思う? そんなスペックあったら、今頃こんな所に居るわけないじゃん」
拗ねたフリックは、ふいっとそっぽを向く。
色気も度胸も、葵依の方が上なのは、誰の目から見ても、疑いようのない事実だ。
そんな相手だから、フリックは初めから白旗を上げ、挑む素振りすら見せない。
追いつこうという、努力すらしない。
なにもせずに、不戦敗。
やる前から諦めてしまっては、なんの可能性も生まれない。
もしかしたら埋まっているかもしれない自分の強みを、掘り起こすコトも出来やしない。
「悪かったな、こんな所で。嫌なら、いつ出てってくれても、かまわねぇよ」
居心地が悪いなら、さっさとこんな所、出ていけばいい。
やる気のない人間に、技能を教える術はない。
「だからぁ。金もスキルもないのに放られたら僕、死んじゃうって言ってるじゃんっ」
むぅっと唇を突き出した膨れっ面で、誰でもわかる常識だと言わんばかりに文句を垂れるフリック。
「お前なら、死なねぇよ。その辺の男捕まえて、その日暮らしで食ってけんだろ」
俺を絆した時のような、たらしっぷりを発揮すれば、フリックなら食っていくのに苦労はない。
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