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気づいた異変
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俺の恋が実る可能性は、ほぼゼロだというフリックの言葉は、否定のしようがなかった。
例えば。万に一つもないだろうが、誓斗が唯愛への気持ちを失ったら。
そんな、もぬけの殻になった誓斗に、俺は魅力を感じないだろう。
流れのままに〝好きだ〞と告げられたとしても、俺はきっと、それを信じるコトは出来ないのだろう。
俺は、滾り溢れる唯愛への想いを抱えている誓斗に惚れたのであって、その脱け殻がほしいわけじゃない。
好きだから、愛しているから、俺は誓斗のために動く。
俺を想って、ほしかった。
少しでいいから、欠片でいいから、その心を、愛おしいという感情を、俺に分け与えてほしかった。
だけどきっと、唯愛への想いを失くした誓斗は、…そんな脱け殻の誓斗では、俺の心は揺さぶれない。
空っぽの誓斗に俺は、魅了されない。
わかっている。矛盾だらけの俺の恋心は、一生、報われるコトなどありはしない、と。
俺とフリックのやり取りを、可笑しそうに見やる誓斗。
俺の平穏を、我が物顔で掻き乱してくるフリック。
全力で好意をぶつけてくるフリックに、絆されてない訳じゃない。
少なからず、俺の心は端から削られていた。
削られ崩れた欠片をフリックは、両手で掻き集め、胸に抱く。
惹かれる想いが、ない訳じゃない。
だけど。どうしても。
心の一番深い場所は、誓斗が占拠したままで。
この胸の中から誓斗を追い出す方法を、俺は知らない。
叶わない恋だろうとも、俺にはこの想いを捨て去るコトなど出来ないんだ……。
水を呷り、一息吐いた誓斗は、軽快に階段を上がっていった。
その影を瞳で追い、ふと気づく。
フリックからの唐突な告白を受け、猛アプローチを受け続けている1ヶ月。
その間、誓斗からの命令(さそい)が1度もないというコトに。
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