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episode 3
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「んっ……」
隣で寝ている碧が、無意識に俺の腰に抱きついてくる。
裸だから寒いのかもしれない。
俺の葛藤なんか全く知らない、未だに夢の中の碧は、無邪気な顔で眠り続けている。
ブルッと身震いをしたから、もう一度布団に潜り込んで抱き締めてやる。
「あったけぇ……」
久しぶりに感じる他人の温もり。戸惑いは勿論あるけど、すごく心地いい。
碧が目を覚ましたらどうしよう。どうしたらいんだろ。一所懸命考えてみるけど、答えなんか出るはずはない。
とりあえず土下座して、謝ろう。
で、一発思いっきりぶん殴ってもらって、水に流してもらう。都合がいい展開かもしれないけど、これしか思い付かなかった。
これが俺達の友人関係と、当たり前だった日常を守る、最善の方法だと思えたから。
「……きっ、ぺい……?」
ついに恐れていた瞬間が訪れる。
腕の中の碧が、モゾモゾと動き始めたのだ。
『碧、頼む!俺を思いっきり殴ってくれ!?都合がいいかもしれないけど、それで今回のことは水に流してほしい!』
碧が目が覚めるまでの間に、何回も何回も繰り返し、頭の中で練習した台詞。
碧が許してくれるまで、謝るしかできない。今の俺にできることは、それしかないから。
「あ、碧、あのさ……」
「桔平、俺、大丈夫だから……」
突然碧の手で、口を塞がれてしまう。
上半身を起こした碧は、当然裸で……。
日焼けのしていない肌がいやに白かったり、膨らみこそないけど形のいい乳首を見れば、下半身が熱くなるのを感じる。
俺は、こいつを抱いたんだ。
同性とは思えないその可愛らしさに、目のやり場に困ってしまう。その色っぽさに強く戸惑って、俺は思わず目をギュッと閉じた。
「大丈夫だよ、桔平。俺、全然昨日の記憶がないから…」
「…………」
「なかった事にしてもらって大丈夫」
俺の口を押さえていた碧の手が、ダランと布団に落ちていく。
「桔平も忘れて?このことは、きっと夢だったんだよ」
泣きそうな顔をしながら碧が俯いたから、心が締め付けられた。
「碧、ごめんな」
「大丈夫、俺は何も覚えてないから」
「ごめん、本当にごめん」
「謝らないで……大丈夫だから」
2人で声を圧し殺して泣いた。
泣いて、全てを終わらせようって、心に誓った。
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