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episode4
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スマホの着信音に、尚央は大きく寝返りを打つ。
「うるさいよ……もっと寝てたい」
自分を包み込んでいる温かい存在に、思わず頬擦りをした。
「もう少し寝てたら?まだそんなに遅い時間じゃないし」
「……ん?」
尚央は真ん丸な目が飛び出るのではないかというくらい、目を見開いた。
「な、なんで……?」
「あー、それ言っちゃうんだ?今更じゃない?」
自分を包み込んでいた存在が、常日頃から見慣れた友人であることに気付いた尚央は、思わず新から体を離した。
お互い一糸纏わぬ姿で、自分は新に腕枕をされている。体はいやに気怠くて、ズキズキと痛む腰は、まるで尚央に現実から目を逸らすな……と言っているかのようだった。
事後……としか言えない状況が揃っていた。
どんなに言い訳を並べても、弁解の余地など残されていない。
「覚えてない、とか言わないよな?」
あまりの恥ずかしさに、尚央は必死に首をフルフルと横に振る。
覚えていないはずなどない。
新の自分を気遣う優しい声に、体をまさぐるゴツゴツした指。体中が痛かったけど、それ以上に気持ち良かったこと。
新は躊躇うことなく尚央を抱き、尚央はそれを喜びすら感じながら受け入れた。
自分達が今まで築いてきた幼馴染というハードルの低さを、2人は身を持って体験したのだ。
「なぁ、俺達付き合おうよ?体の相性もいいし」
「あ、相性とか俺……初めてだからわかんねぇよ!」
「絶対いいよ!俺、こんなに気持ち良かったの初めてだし」
新は、真剣な顔で尚央に詰めよってくる。
「いや、でも……最後までやっといてなんだけど、付き合えないよ!」
「はぁ!?なんでだよ?真面目なフリして、ワンナイトラブだったとかか!?」
「そんなんじゃないけど……」
「じゃあなんでだよ!?」
新は必死に食い下がる。今尚央を手放したら、一生自分の腕の中に帰って来ない……そんな必死さが、新から伝わってきた。
「だって、俺ら男同士だよ?みんなにバレだらどうすんだよ?」
「じゃあ、逆にさ」
俯いた尚央の顎を捕らえ、新が自分の方へと顔を向かせる。
「バレなければ付き合えるってこと?」
「……新……」
「尚央は、俺が好きか?いや、もうとっくに好きなんじゃないの?」
尚央は何も言い返せなかった。
確かに、体を重ねることには驚くくらい抵抗はなかった。でも、恋人になるっていうこと自体がピンと来ないのだ。
「少し、考えてさせて……」
「わかった」
「ごめんね、新……」
「ううん、ずっと待ってる」
泣きそうな顔をした新が、尚央を強く抱き締めた。
体の関係を持った2人というのは、こうも変化するものなのか……と尚央は驚きを感じていた。
明らかに、新たへの態度が変わってしまった自分自身に戸惑いを隠せない。
尚央は、新の猫になったのだ。
本当は、新の傍に行きたいのに、恥ずかしくて行くことができない。
傍に行って、触れたくて、触れられたくて仕方ないのに……。尚央は、もう一度、新の温もりを感じたかった。
「おいでよ?」
「別に……いい」
「いいから来いって」
そんな素直になれない尚央気付いた新が、「おいでおいで」をしてくれる。
一度は断ってしまったくせに、尚央は新にソロソロと近寄って、真正面から抱きついた。
その意外な行動に嬉しそうに目を細めた新は、尚央の頭を優しく撫でてくれた。
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