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『ハルト、俺のこと避けてる?』
『俺が碧のこと避けるわけないだろw』
『じゃあ一緒に帰ろ』
『悪い、先約ある。実は俺、彼女できたんだよね』
『は?誰?』
『他校の子!光に紹介してもらったんだ』
『聞いてない』
『わるい!光と碧がうまくいったらダブルデートとかしようぜ!』
そろそろしんどい。嘘つくのも碧のこと避けるのも、そろそろしんどい。
もう何も気づかないフリしてもとに戻れたらさいこーなのにな。けど碧の前だと変な態度になってしまう自分が見えるから、やっと光のことを紹介するこの日が来てよかったと安心した。
「理央、ごめん。碧と気まずかったりしない?」
「まあ元々クラスでは別グループだから。つか何があったのかそろそろ聞いてもいい?」
「んー……あんま好かれてなかったっぽい」
「……ん?」
「合わないんだってさ。そういえば一回変な感じだった」
急に抱きしめられて、そのあとすげえぎくしゃくした。あのときの俺、変な態度取っちゃったもんな。あれ以降碧も変だったし。ノリ合わねえなって思われたのかも。
「んで、光と二階堂はどこで会うことになってんの?」
「俺んち。さっき住所送っといた」
「家~!?危険!俺も行っていい?」
「いや更に気まずいわ」
「えー。じゃあ家まで送る」
「とか言って光に会いたいだけだろ」
最寄り駅からの道すがら、理央と他愛もない話をしていると少しだけ心が軽くなった。大丈夫だ、俺には理央がいるし、クラスにだって馴染めた。だから碧と話せなくなっても大丈夫。
「あれ、二階堂じゃね」
「うぇ、」
家の前に立つ影。ゆらりとこちらを振り返ったその姿はたしかに碧だった。先についてたのか、なんて思った瞬間に、碧がこちらに向かって走り出した。
「どういうこと?ハルト」
「え、なんか怒ってる?」
「彼女と帰るって言ってた。なんでそいつと帰ってきたの」
「あ、えっと、彼女っていうのは、」
「俺のことだよ~」
「はあ!?」
「うわっ」
「彼女がおまえ!?」
碧が理央につかみかかって、理央がよろけた。冗談のつもりで言ったであろう言葉を復唱されて、理解が追い付いていないようだ。
「ねえハルト、どうして?」
ぼろぼろと碧の目から涙がこぼれ落ちる。ギョッとした顔で理央が見てるのにも気にせず、俺のことだけを真っ直ぐに見ている。
さっきから何が起こってんの。分からないけど、とりあえず碧と理央がここにいると余計拗れそうだということは分かった。
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