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Q.カイはPlayしたことがないの?
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A.
俺は多分、かなり異質なDomなのだろう。そもそも、他人に興味をそこまで持った事がない。検査結果が届いて、自分がDomだと自覚してからもそうだった。だからこそ俺は適性テスト結果通り、援助欲のDomなのだろうと思っていた。積極的にPlayしたいとは思わなかったし、誰かにCommandを使いたいと思ったことはない。俺の世界はダンス一色。踊るのが楽しくて、誰かが俺のダンスを見ることが嬉しかった。
いつだっただろうか、親戚だったか家族だったかに「今のSubは恵まれている」と言われたことがある。他人に対して興味を持たない事を許されている事が、旧教育の根付いた人々には物珍しく映るらしい。旧教育がどういったものだったのかをその時に聞いた。大分過干渉で、偏見に満ちていたようで。つまらない世界だと思った。
だからどうという事でも無い。俺の世界は相変わらずダンスで埋め尽くされていた。曲のイメージを、自分なりに表現してそれを受け入れてもらう事が全てだった。そして、不思議な事に踊れば必ず気分が上がった。上がり過ぎてどう踊ったか、何曲踊ったのかすら覚えていない時があった。
知り合いがショーレストランを開くと言って、俺を誘った。その人曰く、俺は踊っていると微妙にGlareを出しているらしい。正直に言えば、Domの割にPlayをせずに平気な事が不思議だと思う事はあった。いくら他人に興味が無かろうと、自分の体調に関わることくらい気になる。
聞いた当初は心配した。GlareはDomの欲求の押し付けだ。興味のない他人に何かを強要したい訳じゃないし、そんなもので縛られて俺のダンスを見られていたのだとしたら不快極まりない。そう伝えると、その人は首を振った。その人はNeutralだったが、俺の表現に合わせてごく微量に出ているだけだと言った。言うなれば、雰囲気作りの一部程度のものだと。
それを聞いてようやく安心した。そして好きなだけ踊って生活できるのならと誘いに乗った。それから今現在の俺がある。偵察に来たらしい同業の店の店員が俺を引き抜きに来て、引き抜きじゃなくて掛け持ちなら構わないと相談の上で答えたら、この通りいろんな店で声がかかった。
その店の一つだ。マキと会ったのは。妙な方言交じりのマキは、俺とはタイプの違うダンサーだった。マキはある店でDomの店員と不釣り合いな関係を持たされていた。Reward不足。その店員は、支配欲のDomだったわけだ。同じDomでこんな差があるとは思わなかった。マキのダンスを気に入っていたので腹が立ったし、普通に邪魔だったので意識してその日の舞台はGlareを多めに振り撒いた。そしてマキを奪い取った。ダンサーから舞台を奪うなんて殺す気か?俺は口汚く足掻くDomにそう言った。今思えば、この時の俺は支配欲が全開だったんだろう。
後から勤務しているSub達を見れば、大半がReward不足。いくら欲求が嚙み合わない事が多いとはいえ、これは酷い。褒める事も出来ないのか。マキや店のSubにRewardを使うのはそういう理由。たまに必要なら援助欲のDomとして接した事もある。
ただ、自分から望んだPlayは一つも無い。水樹と会うまでは。
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