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「な、ばっ、ち、ちげぇよ」
どもってしまう自分がどうしようもなく情けない。
そんな俺を切れ長の瞳で射抜くと、
「ふぅーん」
とだけ言って、翔琉は先に一人で歩いて行ってしまう。
これも、いつものことだ。
中学生に入った頃からだろうか。
いつの間にか、翔琉は俺をからかうだけからかった後、まるでつまらないとばかりに、ふいとそっぽを向いてしまうようになった。
始めは何かしてしまったのかと落ち込んだ俺も、さすがにこう毎日やられると、次第に気にすること自体が馬鹿らしくなってきたのだ。
俺はさっさと前を歩いて行ってしまっている翔琉の背中を見つめて、一度溜息を漏らすと、
「斗真、行くぞ」
気を取り直して、斗真の手を取り翔琉に向かって走っていく。
ここでもし追いかけなかったら、後で翔琉がすねることは目に見えている。
そして、すねた翔琉が途轍もなくめんどくさいことを俺たちは知っている。
斗真はなぜかいつも嬉しそうにこのやり取りを見ている。
それが俺にはいつも不思議で仕方がなかった。
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