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顔が上がった俺の視線はまるで逸らすことなど許されないかのように、翔琉の瞳に吸い込まれていった。
翔琉が口を開いた。
その口から紡がれた声色はとても痛くて、言われた言葉を理解するのにしばらくかかった。
「……俺を見ろよ、航……」
翔琉はそう言いながら、俺に顔を近づけていく。
思わず目をつぶった俺に訪れたのは、唇への柔らかく、温かい感触だった。
びっくりして目を開けると、信じられないくらい近くに翔琉の顔があった。
その端正な顔の持ち主は目をつぶっている。
長くて綺麗なまつ毛だなぁ、と思ったのはきっと現実逃避をしたかったからだろう。
次の瞬間には自分の置かれている状況を理解した。
それと同時に、俺は反射的に翔琉の頬に当てていた手を離すと、翔琉の胸を叩いた。
始めは強く、そして次第に弱く。
というのも、翔琉が俺の口を舌でこじ開けてきたからだった。
翔琉の舌は、俺の口内をなまめかしく動き回る。
まるで俺のことなど全て見透かしているみたいに。
翔琉の舌が俺の前歯の裏をなぞった瞬間、あまりにも気持ちよくて、俺は思わず必死に抑えていた声を漏らしそうになった。
「……っ……」
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