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第二話 開花(四)
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立珂は分からないようで首を傾げているが、薄珂は着方を理解し釦を止めていく。ようするに、頭から被らず羽を避けて布を当てるのだ。分解された布を再び立珂の肩と脇で釦を止めると、伸縮する生地はぴったりと立珂の肌に沿った。布を巻くだけでは隙間もあり羽とも布ともこすれてしまっていたが、これなら肌は全て隠される。
「袖が欲しければ付けられる。脇に差し込んで紐を肩で結べ。腕の当たりにも釦がある」
「う!?」
天藍は台形の布を二つ取り出して広げた。上部の両端に紐が付いていて、それを肩で結ぶとぺろりと布が垂れた。けれど縦一列にまた釦が縫い付けられていて、それを全て止めると袖が完成した。
見たことも無い服に薄珂と立珂は目を丸くし、ぷるぷると震えた立珂はばっと両手を広げた。
「すてき! すてきぃぃ!」
「か、可愛い! 可愛いぞ立珂!」
「この生地ひんやりする! どうして!?」
「接触冷感の吸汗速乾ってやつだな」
「おなかのとこ模様が掘ってある! どうなってるの!?」
「地模様のある生地だ。立珂はお洒落が好きなのか? 装飾品もあるぞ」
「どれ!?」
立珂はしゃかしゃかと這って天藍に詰め寄った。鞄から服や装飾品をたくさん並べて、立珂は一つずつ手に取り説明を求めている。
「飾り釦にこの石くっつけたらかわいいと思う!」
「ああ、そうだな。やってみるか?」
「いいの!? じゃあじゃあこのちっちゃいとげとげのも! お月さまとお星さまみたいでしょ!」
「ほー。いいじゃないか。洒落てる」
「お洒落!?」
「ああ。お洒落だ」
これとこれ、こっちも、と立珂は次々に装飾品を手に取った。この服とはこれが合う、色の組み合わせはこっちが良いなど、これまでの人生で一度も見たことのない眩しい笑顔だった。
(お洒落が好きなのか。全然知らなかった)
慶都と遊ぶ時でさえ見せないはしゃぎように薄珂は呆然と立ち尽くした。どんどん笑顔が増していく姿に呑み込まれていると、立珂がぱっと振り返りぶんぶんと両手を振ってくる。
「薄珂! こっちきて!」
「え? あ、ああ!」
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