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———積乱雲、迫り来る
ジリジリと暑い夏。
うるさい蝉の鳴き声で、アラームが鳴るより早く目が覚めてしまった。
「あちー……」
エアコンはとっくにタイマーが切れていて、じわりと汗ばんだ自身の額に湿った髪が張りついていた。
夏場はいつも気持ち悪い。
けどエアコンをずっと付けっぱなしにしているのも電気代がバカにならないからと、明け方には切れるようにタイマーをかけて寝ていた。
夏も本番の八月半ば。お盆の時期も休みのない会社は、途轍もなく社員に優しくないと思う。
敦賀湊(つるがみなと)、今年で二十八歳。夏の日課はもっぱら朝シャンだった。
汗をかいたまま着るスーツは、炊いているのを忘れて一週間放置してしまった白ご飯より苦手だった。
(……いや、炊いてんの忘れてんなよって話なんだけど)
雑な手つきでシャンプーを済ませると、それを流していくと同時に、身体中の汗が流れてさっぱりする。そそくさと浴室を出てバスタオルで身体を拭くこと約三十秒。そして、髪をバサバサとタオルで拭き、間髪入れずにドライヤーに手を伸ばす。
夏場はドライヤーでも汗をかくので、そこも好きじゃない。
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