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ドライヤーが済むと、歯ブラシを口に含みながらリビングへ戻る。
テレビを付けて、朝のニュースを見ながら歯磨きをするのも、敦賀の日課だった。
その日は、いつも天気コーナーを担当しているアナウンサーの洋服が普段より華やかで、少し得をした気分になった。“良いもの見れた〜”なんて心が躍ってしまう。心の中は高校生の頃からあまり変わっていないのだ。
《本日の天気は快晴、関東地方は猛暑日となる予報です。熱中症にはくれぐれもご注意ください———》
そうアナウンスが流れた直後、鼓膜を刺激するのはあまり聞き覚えのない効果音だった。臨時ニュースと書かれた字幕が表示されると、敦賀は思わず目を見開く。
それは、有名な男性芸能人が、テレビ番組のスタッフを襲ってしまったという内容のニュースだった。普通なら、何か恨みや気に食わない事があったのだろうかと考えるけれど、次に表示された字幕は“男性芸能人・M、フォークの疑いあり”というもの。
(あー……またこれか)
自分の中で、何かがぐるぐる渦巻くような感覚。もやもやは晴れる事なく、むしろ事あるごとに増えていくような気がする。
「…………犯罪者予備軍です、ってか?」
呆れてそう呟いていた。
報道はいつも、“自分達”が悪者になっていた。仕方ないなんて言うつもりはないけれど、如何にも差別的な用語を沢山使われると良い気はしない。
———みんながみんな、“そう”とは限らないから。
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