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chased NEWS
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学校から、帰宅して、何気なくスイッチを入れたテレビから流れてきたのは、夕方のニュースで、
アメリカでの出身校で起きた銃乱射事件だった。 大学名を聞いた瞬間から、身体が固まってしまったかのようにフリーズしたまま、テレビへ、すべての神経が注がれる。
麻薬中毒で錯乱した若い男性が、授業中に乱入し、銃を乱射をして、無差別殺人をした、というものだった。
その被害者の中に、ティティ・シア・カサブランカの名を見つけた時に、悟った。
この犯人の狙いは彼女だったのだ、と。
教授の愛人だったのもあり、自校の教師や同僚とは関係を持つことがあっても、生徒には手を出さなかった彼女は、他校であれば、大学生でも相手にしていたのが気に食わなかったのだろう。そいつも他校の生徒のくせに。
彼女、一人に対する復讐の為に、落とした命は大きすぎた。何人もの生徒が巻き込まれ、本人もティティーを殺害した後、己を撃ち抜いて絶命していた。
『自分の命をかけてでも愛すること…か…』
その感情を手にしたことはない。その感情が欲しくて手を伸ばし続けたこともあったが、母はその期待には応えてはくれなかった。
母にも愛された記憶はないのだ。
殺されかけたことがあっても愛されていた、と実感していたことなどなかったのだ。
その母が死に、父の元にいたって、父の愛なんて感じたことはない。
恋をするとは、愛するとは、どういう感情なのだろう?
その人を殺してまで手に入れたい、なんて、思ったこともなければ、思われたこともないだろう。少なくとも母親は、そういう意味で、自分に手をかけたわけではない。
それに、そんな歪んだ愛を欲しいとも思わないけれど。
『結局…あれからティティーとは……それっきりだったな……少しは僕のことを気にかけてくれていたのだろうか……?』
何を話していいのかわからないまま、数年が経過してしまっていた。ネットで、情報こそ得ていたものの、直接連絡をとることはなく、簡単なメールを2、3回送信することだけで、こちらの近況を済ませてしまっていた。
けれど、問いかけても、応えてくれる女性は、もういない。不義理をしてしまったと思う。
ーー僕がアメリカに帰る理由がなくなってしまったな
そんなことを思いながら、しばらくの間、動けずにテレビを見つめてはいるものの、見るわけでもなく、呆然と佇んでいた。
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