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【三歩】-3
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幸平が芹澤智明(せりざわ ともあき)と初めて寝たのは五年も前のことだ。
智明は四つ下の弟、洋之(ひろゆき)の同級生だった。家が近所だったこともあって、それこそ歩き始めたときから知っているくらい、毎日のように顔を合わせていた。
幼い頃は三人で遊ぶことも多く、家族のような間柄だったが、幸平が中学、高校と成長するにつれ、その歳の差は実際よりも大きく開いていった。
互いに同級生と遊ぶことが増え、智明とはたまたま家にいるときに偶然顔を合わせる程度にまで、その回数は減っていた。
一方で智明と洋之の付き合いは腐れ縁の如く続いていたが、幸平は高校を卒業すると同時に一人暮らしを始めたこともあって、智明と会う機会はますます皆無に等しくなっていた。
そして転機は4年後にやってきた。幸平が就職すると同時に、大学生になったばかりの洋之がこれ幸いと幸平のアパートに転がり込んできたのである。
弟が居ればおまけのように智明もついてきた。久々に再会した智明との距離が縮まるのは、必然といえば必然だったのかもしれない。
しかしいくら距離が縮まろうと、それが恋愛感情にならないことも互いによく理解していた。
なぜなら智明が好きなのは幸平ではなく、弟の洋之だったからだ。
その事実を智明に打ち明けられたのは、洋之と一緒に住むようになってから半年が経った頃だった。
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