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【二歩】-20
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「そうしたらさっそくですが今週の木曜とか宮原さんどうですか?」
「木曜ですか?そうですね……」
宮原は手元に視線を移すと、びっしり予定の書き込まれた手帳をぱらぱらとめくった。
「あぁよかった、ちょうど空いてます。そうだ、気になってたお店があるんですけど一人じゃ行きにくくて……イタリアンなんですけど、一緒にどうですか?やっぱり男二人っていうのは気まずいですかね?」
「イタリアンですか」
「あまりお好きではないですか?」
「あ、いえ」
イタリアンときいてつい反応してしまったのは、幸平が好きだったからに他ならない。ただ外で食べるパスタはあまり美味しくないといって、幸平の場合は家で作ることが多かった。洋之も幸平の作るパスタが好物で、あの味以上のパスタを今まで他所で食べたことはない。
それでもピッツァだけは釜で焼いたものの方が断然美味しいと、二人でレストランに食べに行くことはあった。男二人で気まずいなどと思ったことなどなかったが、いわれてみると確かにあまり見ない光景であることに気づく。しかし洋之に迷いはなかった。
「いいですね。行きましょう、そのイタリアン」
宮原の瞳が優しく細められたような気がした。それは幸平の見慣れた表情にそっくりで、洋之は息を飲んで宮原を見つめた。
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