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最後の鬼ごっこ④
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チャイムが鳴って生徒たちが口々に囁きを交わし合い、学校から離脱をはかる放課後。鳴海さんのいうお友達関係になってから、一緒に帰るようになった。
星野さんはほぼ毎日部活があるので不在。結果的に帰宅部である俺たちは共に家路を歩く。
唯一誰にも気兼ねせずに鳴海さんと過ごせる時間なだけあって、自然に足が速まっていく。
だが、彼のいる教室の扉をあけようとしたとき。同時に中から誰かが飛び出してきて、危うくぶつかりそうになる。随分急いでいると相手を見れば、鳴海さん本人だった。ぶつかった相手が俺と分かって、安心したような笑みを浮かべる。
「渉、ごめん!」
「どうしたの、そんな急いで?」
「教師に呼ばれてさぁ。もしかしたら、この前の授業レポートのやりなおしかも……」
「さぼれば?」
「もう三回も逃げてきたから、今度こそヤバいわ……。だからさ、今日何時に帰れるか分かんないし、先に帰っても」
「いいよ、待つから」
「いや、でも……」
「待つよ……まぁ、鳴海さんが嫌なら先帰ってるけど」
普通の友達としてふるまおうとするが、欲望が先走ってがっついてしまう。彼に嫌がられたかと相手の様子を窺えば、いきなり俺の手を掴むと心底嬉しそうな顔で。
「よかった、本当は待っててほしかったんだ!この教室でまってろよ、終わったら来るから。じゃあな、あとで!」
鳴海さんが廊下を走っていき、生徒の群れに隠れて見えなくなるまでその背中を見つめていた。
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