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味見
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「スレマン・バシュが見回りをしているぞ!持ち場に戻ったほうがいい!」
「んっ…んんっ‥‥!?」
だが、シアンが覚悟をしたよりも随分早く、終わりの合図が食堂に響いた。
閉まった扉ごしに、廊下から誰かが叫んだのだ。
扉向こうの男の声はそれきりで、自分もどこかへ走って行ったらしい。
「はぁっはぁっ…─あ?…何か言ってたか?」
「馬鹿!バシュが見回りしてるらしい!ここで油売ってるのが見つかると不味いぞ」
「バシュが!? な、んで急に見回りなんて」
「いいからその汚いのをしまえ、出るぞ!」
シアンを押さえ付けていた二人は急にあたふたと慌て出し、床に投げていた槍を持って部屋を飛び出した。
シアンの口を犯していた男にいたっては、まだ下の隊服も履ききらないうちに、もうひとりを追いかけて走り去ってしまった──。
──
「……………」
残ったシアンは、しばらく仰向けの体勢から動かない。
「…………ケホッ」
それからひとつ咳をして、静かに上体を起こす。
片膝を立てて机の上に座るシアンは、一糸纏わぬ姿のまま、またしばらく停止した。
ドクン...ドク....
弄ばれたうえに放置された屹立が、不満気に熱く疼いている。
しかしどうする事もない。シアンはその熱が収まるまでを待っていた。
そして徐々に大人しくなり重力にそって垂れてくるのを確認した後、彼は重たい腰を上げた。
ほどかれた下着を右手に掴み、ただの布切れ同然となった衣服は捨て置いた。
机から降りたシアンは厨房がある石のカウンターを見渡し、水を探す。
喉が乾いているのもある。
だがそれよりも、喉奥に溜まる不快感を流し込みたい。
水瓶が見当たらないので、台に置かれたアンフォラ(酒器)を引き寄せて中身を一気に飲み干した。
「……ハァー」
空になったアンフォラは、厨房に戻した。
「…………誰かいるの?」
「えっ」
不意にシアンが独り言のように呟く。
それは独り言ではなかったようで、扉の向こうで様子を伺っていた何者かが怯えて反応した。
「誰かは知りませんが、入りたければどうぞ」
「…っ…えっと、その…!!」
シアンが促すとやっと決心がついたらしく、その者は扉を開けて顔だけ中へ入れてきた。
そして裸のままのシアンを見て、急いで床に視線をそらす。
「ごめんっ…別に見るつもりは…」
「構いません。…君は?」
「お、オレは、オメル」
扉から出てきたのはまだ幼さの残る少年だった。
いちおう隊服を着ているので、近衛兵らしい。
「…たぶんオレは、キミと同じだと思うんだ」
その少年は、出会ったばかりのシアンに対して、どういうわけかそのような言葉を選んだ。
──…
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