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2話(4)
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「…。」
少し変な間が続く。
緊張で乾いた喉を潤す為に、ゆっくりとお茶を口に流し込んだ。
その瞬間涼が言葉を紡ぐ。
「俺、雪也のこと好きかもしれない。」
「ぶふっっ!?」
直球すぎて思わず口に含んでいたお茶を吹き込んでしまった。
涼が焦って拭いてくれる。
優しいね、ありがとう。
ある程度予想していた言葉だったが、やはり本人の口から聞くとビックリしてしまう。
困惑?動揺?
何にせよ僕の精神状態はSAN値ピンチといわれるものだ。
「突然ごめん、けど雪也のこと前々から意識してたかもしれない。」
「えっと…、」
まず最初に感じたものは、一種の羨望のような思いだった。
僕は涼のように、1度も傑に対して好意を伝えたことは無い。
だから今こうして想いを打ち明けてもらえると、なんだか自分が恥ずかしくなってきた。
涼は本当にすごい。
「僕男だよ?」
「関係ない、雪也だから好きなんだと思う。俺もよくわかってないけど。」
同性なのにとか、そういうことを考えずに引っ括めて涼は僕に伝えてくれたんだ。
色々な思いが反芻して、しばらくの間黙っていた。
それ程に僕のキャパが限界だった。
それを見兼ねた涼が、予想外の言葉を発した。
「一週間、お試しで付き合ってみようよ。」
「それで雪也が嫌な気持ちになったら、切り捨ててくれてもいい。」
お試しで付き合うのもいかがなものかと感じ、僕は結論を出せずにいた。
傑が好きという気持ちと、涼が勇気を出して打ち明けてくれた思いを無下には出来ないという気持ち。
どちらも相反して、余計に悩ませる。
僕の思いは実るのかな?
傑に対しての恋心に漠然とした不安もある。
いつまでも僕が唸っていると、涼は耳元で悪魔のように囁いた。
「俺を利用しても構わない。」
吐息混じりの声で、何かを察しているかのような口調でそう話すものだから、驚いて口を開いて涼を見据える。
「知ってるよ。」
「振り向かせる為にも、俺が当て馬になってもいいってこと。」
何故知っているのか、いつから知っているのか、という質問はきっとタブーだ。
きっと涼は僕のことをずっと見ていてくれていただろうから。
散々悩んだ挙句、僕は2つ返事で頷いた。
「涼を好きにはなれない。」
「でも、僕に協力という形でお願いしてもいい?」
自分でも最低なことをしているのはよく分かっている。
ただ賭けてみたかった。
傑と僕の、これからの関係に変化が起こることを願って。
「いいよ、明日からよろしくね。」
切なそうに笑う涼の感情が読み取れなかった。
単にお人好しな性格なのか、それとも何か裏があるのか。
傑はどう思うのかな、驚くのかな。
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