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3話(3)
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少し歩くと、一軒の大豪邸の前でようやく足が止まった。
ここって、傑の家だ。
おしゃれな雑誌でよく見る、海外の住宅デザインの、いかにもパリのような家。
広い庭は隅から隅まで手入れが施されていて、小さい頃は沢山の思い出を作った。
春は満開の桜を見て、夏は花火を楽しんで。
秋はどんぐりを拾って、冬は一緒にココアを飲んで…懐かしい。
いや、今は思い出に耽っている場合じゃない。
「あの、傑…どうしてここに?」
「いいから入って。」
有無を言わせないような、ピリついた空気を感じる。
今までにない傑の重苦しい雰囲気が、地雷を踏んでしまったと僕を後悔させるには遅くなかった。
怖い態度が変わらない傑に引っ張られて、部屋へ案内される。
高そうなふかふかのソファに座らされたが、気まずくて感覚を忘れそうになる。
お手伝いさんに運んでもらった紅茶を飲みながら、傑は僕を見据える。
心なしか目つきが鋭く、睨まれているような気がする。
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