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魔法使い
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図書室は好きだった。図書室の独特の匂いは魔法とは程遠いものに思えたからだ。書いてある内容が魔法に関してだろうと、この本は物体である。
本を手にとり、机へ座る。最近は図書室に来る生徒も増えてきている。授業に追いつけない生徒や召喚魔法の復習にくる生徒。
現に自分だって明日の授業のための予習を兼ねての勉強だ。生まれつきの魔力が弱い僕はいつだって落ちこぼれでクラスの足手まとい。せめて知識くらいは頭に詰め込もうとこうして毎日図書室へ通っている。
どうせ、心配する親もいない。
俺は町外れの家に住んでいる。1人で。なぜかといえば2年前に僕が目を開けたらそこにいたから、だ。
記憶喪失、自我の損失、人格の破壊。色々な要因を考えたが結局わからなかった。黒髪に眼鏡をかけた俺のことをみんなクロと呼んだ。
その名前はまるで、昔から呼ばれていたようななじみ深さをもっていた。
そして俺がわかっているもう一つのことは、俺にはすでに属魔がいる。それも上級の上級、間違えれば魂を取られるという悪魔との契約。
気を抜けば、隣には黒い羽を生やし、悪魔の象徴にすら思える角を生やした悪魔がいる。
魔力をうしなったのか、使い方を忘れたのか。今の俺にはコントロール出来ない悪魔は、それでも俺の属魔をやめなかった。
「そろそろ俺のことを教えてはくれないか」
そう聞いても、悪魔はただただ、笑うだけ。
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