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斎藤side
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目を覚ますと辺りはすっかり暗くなっていて夜になったのだということに気づく。
「寝てたんだ...」
休みということもあり、朝まで友人と飲んでいた斎藤はソファーで眠り込んでしまったらしい。テーブルの上は空の酒瓶やらつまみの残骸で散らかっていた。一緒に飲んでいたはずの友人の姿はなく、帰ったのだと知る。
気をまぎらわすために仕事に集中して、休みは遊び歩いて。
あれから三週間ほどたったが、笹原からの連絡は一度も来ることがなかった。
『好きだ』
そう言ったのは一時期の気の迷いだったのだろう。
それなのにあの日から無性に苛々してしまう自分が情けない。
目線を天井から外すとテレビ台の上に裏DVDが置かれているのに気付いた。
「...中村のやつ...」
元気のない斎藤を見かねて友人が置いていったものだ。
『最近元気ないからお前の大好きなひとみちゃんで元気づけてやろうと思ってさ!ちょっと疲れてるみたいだし...これやるよ、な!』
そう言いながら渡されたものの見る気力がでず、ずっと放置したままだった。
そういや最近ヌいてないかも...
笹原と会っていた時はほぼ毎日行為をしていたため、気付かなかったがここ最近自分で自慰をしていなかった。
苛々するのも溜まってるせいなのかもしれない。
そう思い重い腰を持ち上げパッケージを開けてプレイヤーにDVDを押し込み再生ボタンを押す。そのままソファーに持たれるように座ると画面に裸の女性が映るのが見えた。
『あっ、ああん...ッア...』
下着ごとズボンを太股の辺りまでずり下げ、自身を取り出す。女の喘ぎ声に合わせて上下に扱き始めるとピクリと反応を示していく。
「.....っは...」
映像を見ながら手を動かしていくが、イマイチ気持ちが盛り上がらない。
「ひかりちゃんってこんなんだっけ...」
映像の中で腰を振る女優は自分好みの美人で線の細い女の人だ。それになのにどうもしっくりこない。
以前はよくお世話になっていたはずなのに、その喘ぎ声に違和感を感じ目を閉じる。
その瞬間
『正実』
笹原の声が頭の中に響き言葉を失った。
「え、なんでっ...」
『正実、ここ気持ちいいの?先っぽ弄られるの好きだよね...』
『わかる?凄いビクビクしてる』
かき消そうとしても思い出す声に体が反応してしまう。
「あっ...嘘、手、とまんなっ、あっ...」
先程までは少しだけしか反応しなかったそこは、先走りが溢れだして陰茎を濡らしていた。やめたくても手は止まらず、夢中でぐちゅぐちゅと扱きあげる。亀頭を擦り尿道を刺激するように指を立てると小刻みに内腿が震えだした。
テレビから流れる声はもうとっくに聞こえなくなり、脳内に響く笹原の声に犯されてる気持ちになる。
『ほんとエロいな...見られて興奮してるの?』
「あっ、あ...違、違うっ」
『嫌?それなのに気持ちよさそうだけど、素直に気持ちいいって言えよ』
「んっ、や...あ、やだ...こんなっ」
それでも手は止まらなくて、近づいてくる限界に指を丸め脚を突っぱねる。
「あ、あ、もっ...」
『イきそう?ほら、イけよ』
声と同時に笹原の顔がフラッシュバッグする。
『正実...好きだ』
あの言葉を思いだした瞬間と熱が沸騰しビクビクと体を震わせながら射精した。
「あ...はっ、」
吐き出した精液がべっとりついた自分の手を見て絶望感に襲われる。
「....なんで...笹原さんのことなんか...」
関係ない。終わりだと思っていた笹原のことを思い出しただけじゃない。それに反応して自慰をしてしまったことが信じられない。何より『好きだ』という言葉で達してしまった自分にショックを受けた。
妙な虚しさが襲い、ヨロヨロとシャワー室に向かう。全て洗い流したい。そう思いシャツとズボンを脱ぎ捨て顔をあげると鏡に自分の顔が映る。
「え、なんで俺...泣いてんの...」
見ると無意識のうちに流れた涙が頬を濡らしていた。
『正実』
またもや笹原の声が響く。
抱き締められたときに感じた体温や、笑った顔、名前を呼ぶ声が脳裏に浮かび涙で目の前が霞む。そのまま崩れるようにしゃがみこむと、ある想いが斎藤を襲った。
どうしよう。
「ーーーっ、嘘だろ...」
笹原さんに会いたい。そう思ってる自分に気づく。それがどう意味を示しているかすぐわかった。
「なんで...俺、笹原さんのこと...」
無理やり人を襲うような性格が悪い最低な男のはずだ。そう思ってたはずなのに、いつから?いつからそういう風に思ってたんだろう。
「あり得ないだろ、あり得ないっ」
否定するように頭を振っても思い出すのは最後に会った悲しそうな笹原の顔で、ドクドクと脈が速くなっていくのがわかる。
その気持ちが信じられなくて黙ってうずくまっていると、インターホンが鳴るのが聞こえてきた。人前に出る気分になれず無視するが何度もインターホンを鳴らされる。
しつこい音に痺れを切らし、涙を拭い立ち上がると玄関までゆっくり歩いていく。
自分の格好など気にする余裕もなく、乱暴に扉を開けると予想外の来客者に斎藤は目を見開いた。
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