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1年 8月
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「暑い………」「せやなぁ……」
夏休み真っ最中、クラスの帰宅部代表として雑用係になった俺と、ほぼ毎日弓道部の練習がある桜庭は、こうして弓道場裏で会っている
とは言っても、桜庭の昼休憩1時間しか会えないが、
「俺、毎日部活頑張ってるんよ?
少しぐらい楽しみがあってもええやん〜!
遊びたくても部活あるから会えへんしさ……?」
と駄々をこね出すから、お互い学校に居る日は会うことになった
「あれ?さくちゃんは?」
「さっき密会行ったよー」
ここぞとばかりに張り切る蝉のBGMの間を縫うように、背もたれとしている弓道場から声が聞こえた
「……お前、さくちゃんって呼ばれてるんだな」
「ん!?あぁ、せやねん」
炎天下での練習のせいで日焼けしたのだろうか
心做しか赤くなっている横顔は、お茶を飲む為に傾いた
「せや、詩音〜紐結んでくれへん?」
「紐?俺、袴の紐の結び方知らないけど」
「大丈夫や、適当で」
ええ…と多少面倒に感じながらも、両手を広げて待っている桜庭と向かい合いになるように膝立ちで近付く
「これお前がやった方が早いだろ…」
しぶしぶ紐を手にし、腰に回していると
「えっ」
首の後ろに重さを感じ、咄嗟に声を漏らすとそれはグイッと持ち主側へと移動した
「ぉ、え?桜庭?」
「……………」
なんだこれ、どういう状況だ?
確かにこいつはパーソナルスペースがおかしいが、こんなことになるか?
なんで無言なんだよ、いつもはうるさいくらいなのに
「………桜庭」
「んんん〜〜〜………」
細く柔らかい髪が首に擦り寄る
「んんんーじゃない、余計暑いだろ」
「………ハグってストレス解消になるんやて」
「だからって…
「30秒だけでええねん、お願い」
耳元でいつもよりしおらしい声で囁かれ、少し擽ったい
「……はいはい」
また駄々をこね出されるのは面倒だし、しょうがない
と思う俺は、桜庭に対して甘いのかもしれない
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