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1年 10月
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「なぁーーーねぇえ…………駄目?」
それからというもの、味を占めたのか2人きりになるとハグを求めてくるようになった
「駄目だ、誰かに見られたらどうすんだ」
テスト前で部活が無い中、多くの生徒が終礼と同時に教室を飛び出すとは言え、いくらなんでも教室は危険すぎる
万が一見られてしまったら気まずすぎるし、変に誤解されるのだろうか
「………そういうとこやで、ほんま………」
しょぼくれた顔で何かボソボソと呟きながら、俺の首元に腕を回す
俺は透かさず回された腕を掴み、所定の位置に戻す
「そんなに俺に触られるの嫌なん…?」
「嫌では…」
「ならええやん!一瞬だけ!」
「……………はぁ、一瞬だけだぞ」
どうせ断り続けたら、このやり取りが続いて面倒だからな…
さっきの顔とは打って変わって、明らかに嬉しそうな表情になった桜庭は、「ん!」と両腕を広げる
なんで俺からなんだよ……
つっこむ気力も失せたが自分から行くのは癪に触る為、手首を掴み引き寄せ、腰に腕を回す
「ふふっ」と小さな声が聞こえると同時に、首元に腕を回される
何度しても、このむず痒い雰囲気に慣れない
「……なぁ交代せん?」
「は?」
「俺が詩音のお腹ら辺に腕やって、詩音が俺の首元に腕やる」
「はぁ………」
訳も分からず、でもまた駄々をこね出すと面倒な為、言われた通りに桜庭の首元に腕を回す
同じタイミングで桜庭の腕が、腰ら辺に来る
「なぁこれ交代する意味あるか?」
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいの俺は、桜庭の様子を伺う
7cmくらいしか身長差はないが、自然と見上げる形になる
「あるで」
上機嫌そうな桜庭は俺と目を合わせ、額同士をくっつける
「ちっっか…お前本当パーソナルスペースバグってるだろ」
「んふふ、そうかもなぁ〜」
睫毛同士が微かに触れて、不思議な気分になってくる
他人の瞳に映り込んでいる自分を、こんなにまじまじと見た事はない
「…………あっ!!一瞬!もう一瞬経っただろ!!」
「あ〜〜〜気付いてもうたか〜……」
一瞬だけって自分で言っておきながら、流されてしまった
「はい、もう終わり!!離せ!」
「んん゛」
桜庭の腕の力は弱まるどころか、強くなっていく
「…今離さなかったら、二度としないぞ」
「はい!離します!!」
バッと桜庭から解放される
「普段からこんくらい聞き分けが良ければな……」
「ん?なんか言った?」
「いや、何も」
ふと窓の外に目をやると、日が傾き始めていた
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