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2年 1月
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「ねぇ藤原……ちょっといい?」
部活動生が教室を飛び出し、つい先程までの生気が静まり返った終礼後
放課後はまだまだこれからという時に、やたらと突っかかってくるクラスメイトに声を掛けられた
「どうした?」
普段のおちゃらけた彼からは想像し難い、真面目な表情に自然と緊張してしまう
「えぇっと……」
困ったような笑顔で教室を見渡し始める
教室内には俺達の他に3人いる
他人に聞かれたくない話か……?
「場所、変えてもいい?」
案の定、教室では話しにくい話らしい
「で、どうした?」
人通りが少ない踊り場に移動をした
妙に落ち着きの無い様子を見て、これから何を言われるのか予想も付かない
「……真面目に質問するから、真面目に答えて欲しいんだけど…桜庭と付き合ってるの?」
「えっ?」
真面目に質問するも何も、教室で時々聞かれる事で拍子抜けしてしまう
いやコイツは、本当の答えは教室で言う答えと違うと思ってるから、こうして真面目に聞いてきたのだろう
「何度も言ってるだろ、付き合ってない」
男子校だから、C組で付き合ってる奴らがいるから、面白半分で聞いてくるのだろうが、緊張して改まった様子で聞いてくるという事は…こいつ桜庭の事好きなのか?
「じゃ、じゃあ!どっちかの片想い?」
「はぁ?」
片想い?俺は……え?仲の良い友達だろ
そもそも恋愛ってなんだ?
まぁ桜庭はハグ求めてきたり、何かとおかしいけど普通だろ
「じゃあ、あっちの片想い、か…」
俺の困惑した表情を見て、納得した様子で呟いた
おい、今なんつった?あっち?桜庭の事?
俺の事好き、いやいやそんな訳ないだろ
ちょっとパーソナルスペースが狭いだけだ、そうだそうだ
「片想い?いやいやないだろ、距離感がおかしいだけだろ」
頭の中で整理した事を正確に口に出す
そうかなぁ…って、そうだよ
「でも藤原、男同士だから、とかそういうのは気にしないんだね」
「ん?あーまぁ、想像しにくいけど、だからといって否定する理由もないからな…」
「ふーん、そっか」
話しかけてきた時よりも明らかに晴れやかな彼の表情に、俺は疑問を抱くはずも無かった
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