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3年 1月
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「今まで、まとわりついて、ごめんな」
それ以来桜庭は、俺と距離を置いた
話しかけようと試みても「用事あるから」と避けられる
違う、今まで一度も嫌いだなんて思った事無い
俺の事が好きだと知って、嫌な気持ちなんてしなかった
これが何なのか分からない
桜庭と同じ気持ちなのかもしれないし、違うのかもしれない
そういえば、父親の最後の言葉も「ごめんな」だった
でもあの頃とは違う、歯向かえない存在は何も無い
ちゃんと気持ちを伝えないと
また、俺の大切な人が俺の前から居なくなってしまう
「桜庭」
昼ご飯を食べ終わり、教室のドアへと向かう桜庭を呼び止 める
「…ごめん俺ちょっと」
「お願い、話を聞いて」
無理矢理作ったような笑顔でまた逃げようとする桜庭の手首を掴み、真っ直ぐと目を見る
作り笑顔は徐々に薄れ、小さく「分かった」と言った
「これ」
屋上へと行き、あの日約束した それ を渡す
「えっ……?」
「誕生日おめでとう、開けてみて」
「ピアス………俺が言っとった事、覚えてくれてたんや……
ありがとうなぁ……」
桜庭の目には涙が溜まり、でも嬉しそうに笑った
言わないと
「……やっぱり、嫌だ」
「え?」
「ぉ、お前と、一緒に居たい」
心臓が痛い、桜庭の目が見れない
今までいかに本音を言う事から逃げてきたのか、思い知らされる
「……ぅ゛、俺も一緒に、居たい…でも……好きでいて、 ええの?」
嗚咽を漏らしながら、泣きじゃくりながら言う桜庭を見ると貰い泣きしそうになる
「…うん」
「………俺、の事、好きなん?」
「ゎ、分からない……友情と恋愛の違いが分かんない、でもお前の隣が良い」
「んふふ、そうかぁ…」
「駄目、だよな、こんな曖昧な
「ええに決まっとるやん、俺も…詩音の隣が良い」
言葉に変え難い喜びでいっぱいになり、初めて俺から抱きしめた
桜庭は一瞬体が強張り、ゆっくりと抱き返してまた泣きじゃくった
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