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板付きだよんっ
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「あれ、今日って板付きだっけか?」
俺の問に綾は呆れたように頷く。
「今日もなにもいっつも俺らは板付きしかやらんよ!」
「そっかあ」とひとりおててぽん、して納得してると、綾がやれやれといったふうにおでこに手を当てた。綾の癖だ。呆れるときによくやる。
板付きというのは、演奏が始まる前。つまりステージの幕が開いた時には演者がステージに立っているスタイルのことだ。綾から聞いたから、確証は揺らぐが。
「ほらほら! ぽよ。いつもの」
「わりい忘れてた」
ぷくう、とほっぺたを膨らます綾。全身タトューフル装備のヘラってる奴からは想像できないシチュにちょっとかわいいかよってなる。頭なでなでして、ぎゅってあたためたくなる。
「せえの」
2人して顔を見合わせる。鏡みたいにして。
「「う! ん! ぱ! に!」」
口を、「う」「ん」「ぱ」「に」と動かす。目が死んでる俺らにとってこの顔の体操はステージに上がる前には必須科目となっている。この体操をやると、笑顔が自然、ナチュラルに見えるらしい。これまた綾の情報だから確証は薄いけど。なんとなく、やるのとやらないのとでは気合いの入り方が違う気がして毎度やっている。こいつの変な顔見れる特等席だしって思ってやってる。多分こいつもおんなじこと考えてるんだろうけど。
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