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瞳の中の真実。とか言ってみる
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まあまあ、そんな明るい場所は見ない方が良ござんすよ。さてさて、映画に入り込もうか。
ワンドリンク1000円って、ばか高い。ふっつうの、氷マシマシでかさを高められたアイスカフェモカ。上にバニラアイスがのっていて、パール状のアラザンが降り掛かっている。満月の上に散りばめられた、銀河の星の欠片のように見える。お月様にはうさぎさんが2匹いて、よっせはっさと一所懸命餅をついてるのだっけ。その餅オラにもくださいな。
映画の冒頭、50代くらいの男が車を運転しているシーンから始まった。空は晴れているのに、ワイパーが揺れている。左に、右に。メトロノームのように正確なリズムを刻む。秒針のようでいて、心臓の鼓動のようでいて、自分の真ん中。どくどくと胸が高まる。
後部座席には小学校高学年くらいの女の子。髪の毛をお団子にして、チャコールグレーのランドセルなんか手に持っちゃって、窓の外を眺めている。
5分程の無言のシーンの最中に、男の目がバックミラー越しに女の子を捉える。
その瞳が叫ぶように、慰めるように細められたのを自分以外の他に誰が気づいただろうか。静と動の狭間で揺れている男の心情を、誰が想像できるのだろうか。
なぜか俺は昔から人の機微の感情に敏感な性格だった。相手が少し間が悪い返事をすれば、「ああ、何か気に触ることを言ってしまったんだな」と気づいて、何気なくフォローの言葉をかけられる。
人間の瞳は鏡のようにその人の感情を映してしまう。悲しいことも、怒ったことも、嬉しいことも全部。
瞳は嘘をつけない。
だから俺は人と話す時に相手の瞳を時々見るようにしている。そこに本当の気持ちが見え隠れしているから。
俺のように、目が死んでる綾の気持ちははかりかねるが。
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