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忘れねえよ
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悲鳴を上げていた。最後の叫びを全身にこめて、崖から突き落とした彼の、あの血眼になって空中を飛ぶ様は素晴らしく愉快であった。周りの友達も、ギャハハと笑っていたのが急に死に絶え、急いで崖の下を見た。人間の頭はあのようにパックリ割れるものだと初めて知った。黒ごま煎餅を叩き割ったかのように痛烈で爽快な死に様であった。
生まれて初めて見た死体は同級生のものになった。映画なんて、嘘っぱちめ。あんなの、あんなに血が少ない量の死体はないよ。
通報はしない。それが、3人いた友達との鉄の掟になった。誰も見舞いもしない。もう、死んだ彼は過去の通過点の1つに過ぎなかった。不運な人間だ。おそらく童貞で、女と会話してるのを見たこともなかった。常に不気味に笑っては、スマホを覗き込んでいた。
あの目が、いたく気に入らなかった。同じ教室にいることが躊躇われた。なんとなく、嫌がらせをしていると自分が強者になったかのように感ぜられて、日々が輝いていった。圧倒的勝者の前に膝をつく弱者を見れば見るほど、自分がいかに恵まれているかを思い知る。
心広はミニカーをどこから持ってきたのか。友達の母親からもらったなどという嘘をなぜついたのか。
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