アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ミステリアスなのがいいんでしょう?
-
男の全身をそれとなく舐めまわすように観察する。黒いハイウエストのフレアパンツ。内光するブラックブーツ。5センチほどの高さがある。ベルトはハイブランドのゴールド。白のブラウスは胸の前に軽いシフォンがまとわりつく。洗練された印象。
「映画のエンドロールの時に、手を合わせていたのが気になって」
「。」
男の瞳が、少しだけ。ほんの少しだけ瞬いた。その直後、ラメのついた涙袋がぷくりと膨らむ。これも天然素材なら俺は神に背を向けて聖書を燃やすだろう。
「初対面の人にそういうことを言うのは失礼じゃないですかね」
笑顔と、毒のある受け答えに言葉が詰まる。確かに、知らない人間から動作を観察され、挙句の果てには声をかけられるなんてこと普通は考えられない。でもねしようがないのさ。俺は普通っ子じゃないからさ。
「すみません。どうしても気になってしまって。俺、この映画すきだから、熱心に見てる人なのかなっておもったら嬉しくて、、思わず声をかけてしまいました」
早口長文声上擦り。オタク特有の話し方が自分でもキモイと自覚している。
「あなたはなんでこの映画が好きなんですか。教えてくれたら、僕もあなたに話すかどうか考えます」
俺に問いてくれたってことは、興味を示してくれたのだろうか。そう良い方向に考えすぎちゃうのが俺の美点であり汚点だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 34