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98年て 介護されてる頃ですけどん。
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「ガキ。てめえ月収いくらよ」
こんなにも馬鹿にされたのは人生でも類を見ないだろう。でも、答えないわけにもいかないから答えた。
「30万くらい……」
同年代の17よりはだいぶ稼いでると思うけど。
「じゃ、98年かけて返すんだな」
男の指輪。シルバーの、シンプルイズベストな、服を邪魔しない調和したデザインが目に止まる。
「ごめんなさい。無理です……」
思わず漏れでた言葉に男は「はあ?」と片方の眉をつり上げて放つ。
「無理ですじゃねえんだよ。何円したと思ってんの。言ってみ怒んねえから」
「あ、う……ひゃ、ひゃくまんえんくらいですか」
くは、と咳のような笑いを1つ。
「こいつ、ダイエンシェーディってオーストリアのブランドなんだけど、知らないよね」
幼稚園生に言い聞かせるような言葉。ええ。知りませんとも。ハイブランドには興味がなくて、佐藤ソマリオンは全身ハイブラだから話は聞くけども。見るけれども。見せびらかせられるけれども。俺は持ってはいない。
「769万」
「うがっ」
男の数字におったまげて威嚇する犬みたいな唸り声が出てしまった。想像の10倍くらい高。そんな、いや、98年はかからなくても俺の月収なら数年はこの人の奴隷にならなくてはならないだろう。
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