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絶頂 -4-
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いつも武上からのストップがかかる手前、彼のペニスが完全に勃起する前に櫻井は口を離した。
「……質問、答えてくれませんか」
ペニスを軽く握りながら先端に唇を当てて、武上の顔を見上げた。武上はまだ、何も答える気配が無さそう……
「っと!?」
櫻井がそう見た矢先、武上が体を動かしたので慌てて櫻井は手と顔を遠ざけた。武上はそのまま立ち上がり、勃起したままのペニスを下着の中に押し込めてジッパーを上げた。
「本日の予定を変更します」
「変更?」
「櫻井さんを黒宮の家までお送りします、よろしいでしょうか」
「えっ……」
正解だ!
櫻井は驚いた表情をしておきながらも、拳をつい握ってしまっていた。自分から求めに行くことが、彼らにとって一つの指標だったわけだ。
「よろしいですか」
「えー……と、分かりました」
あくまで急な展開に戸惑うことにしておいた。黒宮は呆れながらも従順な自分が好きなはずだ。
「それでは、ご一緒に」
武上が玄関へと向かい、大きなテントを張ったスラックスが櫻井の視界から消えた。
「……はい」
何をばかな。その膨らみに対し微かに抱いた未練を一蹴し立ち上がる。アパートの前に付けられた車、櫻井はその後部座席へと促され乗り込んだ。
身体があそこから熱くなっている。運転席の武上から目を背けながら、櫻井は猛る我が身を鎮める術を探り出す。
さっきまでは事が展開したことに胸躍っていたはずだった。しかし今はそれよりも、体で燻っている疼きに意識が持っていかれている。
櫻井に攻められながら、武上が何も返答してこなかったことに釈然としていなかったが、納得のいく答えが1つ見つかった。
おそらく自分は本当に焦らされていたんだ。黒宮の元へと持っていくのに、いいようにお膳立てされたわけだ。
「……武上さん」
窓の外を眺めながら、櫻井は運転席の男に語りかけた。
「あなたは男性との経験ってあるんですか?」
自分でも、なんでこんなことを聞いたのか、櫻井は不思議に思った。
「個人的な事情について、話すことはできません」
「個人的な事情」
櫻井はその言葉を抜き取って反芻した。
「俺がされてたことは、もちろん個人的な事情に当たりませんよね?」
「はい、黒宮からの言いつけにより行っておりました」
「なら、黒宮さんからの言いつけで男とヤる、なんてことは?」
「それについても申し上げることはできません」
ならば最初から個人的な事情などと言うな。そう思いながら櫻井は舌打ちをこらえた。おそらく、否定しないのが答えと言ったところなのだろうが。
聞こえるのはエンジン音と、車体の外からの音だけになった。じきに見覚えのある通りを過ぎ、人通りはまばらになっていく。そして車はとある地点で下りの道を曲がり、地下駐車場へと下っていった。
広々と駐車できるスペースが対面側にあるのに、武上はわざわざ隣の車と壁際の間に車を停めた。
それでも一度で綺麗に収めるから見事なものだ。
彼は車から出ると、後部座席の扉を開き櫻井を下ろした。
「どうぞ」
武上の後をついて、前のように地下から上がった。狭い階段で武上の後ろを歩くと、だいぶ視界が遮られる。
この後、自身に行われることの未知性ゆえだろうか、前回招かれた時よりも動悸が大きい。久々に会う黒宮であるが、彼は自分をどう扱うつもりだろうか。
地上の玄関で靴を脱ぎながら、ふと違和感を覚えた。気のせいかなと思い玄関から上がった矢先、やはりまた、何やら高い音が聞こえた。
不審に思ったが、武上は何も反応を見せることなくそのまま廊下を歩いていく。櫻井は断続的な高音に胸騒ぎを覚えながらもそれを口にできないまま、後に続くだけだった。
「んんーーっ……」
リビングの扉が開かれ、次に高音が聞こえた瞬間に櫻井の予感は確信に変わった。この音は人の声、それも喘ぎ声だ。
「武上さん」
櫻井は背中に呼び掛け、その場に立ち止まった。櫻井がついてこない気配に気づいて武上も数歩離れたところで立ち止まり、振り返った。
「あれは……映像を見てる声では無いですよね?」
「おそらくは」
「俺が顔を見せて問題ない人物ですか?」
「はい、この家に上がっているということは、秘密は守れる人物です」
武上はそう断言すると、また歩を進め始めた。
「ふっ、ん、んんっ……んぅっ……ふっ、うぅぅっ……」
くぐもって鼻にかかった声。
櫻井は頭が内側から鈍く痛むのを感じた。社長と話した内容は、昨日の今日どころか今日の昼の話だ。
それを踏まえたうえで、この声を聞いて、連想しないわけがない。
ゴソゴソとした物音まで漏れ出している部屋の扉を、武上は躊躇なくノックする。辞めてくれと言いたいような気分だ。
部屋の向こうでは、行為が行われていることを思わせる一切の物音が止まった。
「どうぞ」
中から返ってきた答えは、普段と変わりない調子の黒宮の声だった。
「失礼します」
武上が扉を開けた。櫻井は身を固くさせながらその扉の向こうを覗いた。
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