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本音 -3-
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「なんでお前はここまで、俺の要求をすべて飲みこんできた?」
櫻井の胸を押さえつけていた掌は一度離れ、その代わりに人差し指一本を胸の真ん中にトンと置かれた。
誘惑ではなく、脅迫としてそれ突きつけられていることは明白だ。真実以外は受け付けない、とでも言わんばかり。
「それは……俺は、あなたを……」
「好きってか?バカ言え」
言葉とは裏腹に、黒宮の指は滑るように櫻井の胸の輪郭を撫でた。
「お前が俺とのセックスに期待してた?」
指は軌道を外れ、片方の乳輪に沿って円を描きだした。
「なんのために俺とセックスがしたいって?」
「だって、あなたが俺のところに武上さんをよこしたから、つまりはそういうことかと思って……っ」
乳首をカリカリと軽く掠められるが、緊張のせいでイマイチ反応は悪い。
「そういうことだと思ってハイそうですかと足を開くのか、お前は」
「……そういうことになりますね」
黒宮は指を離し、腕を組んで櫻井を見下ろした。細められた瞳で何を考えているのか、櫻井には想像がつきかねる。問答1つ1つが最良の選択肢であっただろうか。
「あんまりわざとらしいのは面白くねぇな」
「っ……」
人が全裸のままであったのをいいことに、黒宮は櫻井のペニスを握りしめた。そこを捕まえられたらだいぶ逃げにくくなる。
いや、それでなくとも『逃げる』という選択肢を選ぶことを、この部屋の空気全体が許していなかった。
「例えば俺がどっかでひもじくベースかなんかでも弾いてて、何の権限もマネージャーもない人間で、香月くんなんか天の上の存在だったとして、お前は俺とこんなことをしたか?」
とうとう核心をついてくる質問が飛んできた。
腹を割る……先程の黒宮の言葉を櫻井は思い出していた。もう下手な嘘は逆効果にしかならない。
「……おそらく、断っていたでしょう」
自分で思うより落ち着いた声が出た。
しかし直後に、櫻井のことを握りしめている手が愛撫するように動かされ、櫻井の呼吸を乱し始めた。こんな状況下でも擦られれば起っている自分に、櫻井は半ば呆れていた。
「じゃあ、どうしてお前は俺の誘いに乗ったのか言ってもらおうか」
無表情のまま見下ろす黒宮は、顔の半分が陰っている。
太陽光の似合わない部屋だな、と櫻井は不意に考えた。黒い床も、シャープな家具も、そして部屋の主も、暖かな光と混じりきれない冷めた雰囲気を持っている。
「何が欲しかった?」
櫻井が答える前に、黒宮が耳元で問いただす。
意識的に吐息を言葉に絡ませている、櫻井はそう思った。おかげで首から腰にかけてを震わせてしまった。
「仕事の相手?それとも香月くんや社長を手懐けたかったか?」
櫻井は一度ゴクンと唾液を飲んだ。
「両方、ですよ」
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