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解放 (※暴力表現あり)
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「俺の負けだ」
『負け』の言葉が黒宮の口から発音されたのと武上の腕が動いたのは、ほぼ同じタイミングだった。
その手に頭を鷲掴みにされるまでに、黒宮は言葉を言いきれた。しかしその直後には、後頭部を壁に打ち付けられていた。
「……あぁ~…………」
喉から漏れ出るような、ため息まじりの高い声。指は頭蓋骨を砕かんとするように、ミシミシと力を込めていく。
恍惚。
その感情に浸るようにうっとりと目を細め、武上は黒宮の頭部を掌いっぱいに握っていた。
「……そうだ」
その手をおもむろに離し、黒宮の肩に手を置く。黒宮はただ、何か反応するでもなく、その両手に支えられるまま俯きがちに立っていた。
「そうだなぁ!?」
叫び声とともに、今度は首を掴まれた。後頭部にまたガンッ!と衝撃が走る。
「そうだよ!あんたの負けだ、俺の勝ちだ!!あんたはあいつを理想通りの人間にできなかった!なんだよ俺がこんなに頑張ったのに!人生うまくいかねえなぁオイ!!」
武上は息をつくごとにガツン!ガツン!と黒宮を壁へと打ちつけた。
責めるような言葉をまくし立てながらも、武上の唇は、溢れ出る喜びをどうしても抑えきれないというように、両頬いっぱいに伸びていた。
黒宮はただ揺さぶられるままに、首をグラグラと揺らしながらゴツン、ゴツンと後頭部を壁にぶつけていた。
「あぁ……ごめんな?痛い、痛いな?」
また唐突に、武上は黒宮を抱き寄せて、慈しむようにその頭をゆっくりと撫でた。抱き寄せたついでに、ベロベロと黒宮の頬を舐めあげながら。
その間、黒宮は糸の切れた人形のようにダラリと武上に凭れ、ぼうっと宙を見上げていた。
「あぁでもダメだ、とまんねぇ……嬉しい、嬉しいよ黒宮さん!」
高らかに叫びながら、武上はその腕に抱いていた黒宮をベッドへと投げ飛ばした。続いて自分もボスンとベッドに飛び乗り、黒宮の上に馬乗りになる。
「23時36分41秒」
投げ飛ばされたまま動かない黒宮を見下ろしながら、武上は呟いた。
「24時間、あんたと俺の約束の時だ。お言葉に甘えて好きにさせてもらう」
そう言う武上のウインクに、黒宮は白けた視線を投げ返すばかりだった。
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