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プレゼントって難しいよね。
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店員がお冷とおしぼりを洋一達の前に並べ、注文を取りその場を去ると
3人の間には再び気まずい空気が流れ始め…
洋一はお冷をチビチビと飲みながら
この気まずい空気の原因になっている2人をそれとなく見る
―――ホント…どーしてこんな事になってんの…?
まさか自分が隣に座るか否かで
2人の男性が険悪な空気になるだなんて夢にも思わなかった洋一が
命の隣で畏縮するなか…
浩介が静かにその口を開いた
「――まだ秘書として雇って一日目なのに…
随分と洋一の事を気に入ってるみたいですねぇ~…“副社長”…」
顔は微笑んではいるが――
かなり棘のある言い方で、おしぼりで手を拭きながら浩介が命に話しかける…
すると命はフッ…と微笑みながら返事を返し…
「ああ……気に入ってるよ…?
良い匂いだし……常に傍に置いておきたいくらいには。
――ところで篠原……その“副社長”という呼び方――止めてもらおうか。」
「――では何てお呼びすれば?」
「“命様”。」
「――承知いたしました。“命様”。」
「ぶっ、、げほっ、げほっ、、」
お冷を飲みながら2人にやり取りを聞いていた洋一は思わず噎せる
事情を知らない人から見れば…
見目麗しい2人の男性が、それはそれは綺麗な笑みを浮かべつつ――
互いに見つめ合いながら談笑しているその光景は、さぞや目の保養になった事だろう…
しかし2人から漂うこのピリピリと張り詰めた空気を
間近で感じっとっている洋一にとって
2人の笑顔は恐怖でしかなくて――
―――だからぁ~…怖いんだって2人共っ!あ~もぉ~…何でこんな事に…、
そんな事を思いながらも洋一はただただこの空気に耐えるしかなかった…
洋一が針の筵(むしろ)に座って居る気分を味わう事約一時間半…
「――なんだ…?もう酔ったのか…?篠原…お前も大した事ないなぁ~…w」
「おぇ…ッ、う”ぅ…うるせー…ですよ…、命様…っ、」
命と浩介はまるで張り合うかのようにその後酒を飲み続け――
元々洋一より酒に弱かった浩介は、テーブルに突っ伏してもはやグロッキー状態に…
「…浩介……もうあまり無理をしない方が――」
「ッ…うるへー……俺はまだ、うぷっ…、酔ってなんかっ…」
「フッ…」
命はそんな浩介を見ながら勝ち誇ったかの様に日本酒を煽る…
そんな中…佐伯が人混みを避けながら命たちの前に現れ――
「――命様。そろそろお時間です…お戻りを。」
「…分かった。皆瀬、家まで送ってやる。一緒について来い。」
命は席を立ち…靴を履きながら洋一の方を見る
すると洋一は膝立ちになりながら
反対側の席でテーブルに突っ伏して唸っている浩介の背に
手を伸ばして擦っており…
「いえ……俺は浩介が心配なんで…
暫く此処で浩介の様子を診てから帰ります。」
浩介の背を擦りながら
少し申し訳なさそうな笑み浮かべて命にそう言う洋一に
―――そんなヤツ…ほっとけばいいだろう…
と、命は言いそうになったが――
余りにも心配そうに浩介の背を擦る洋一を見て、命はその言葉をグッと飲み込み…
「――そうか…?ならここの金は俺が払っておくから
後はお前達の好きにしろ。それと――」
「…?」
常に迷いなく言葉を発していた命が
珍しく少し言い辛そうにその口を開き…
「今日は少し大人げなかった……悪かったな。
お前達に変な気を使わせてしまって…
篠原にも酔いが覚めたらすまなかったと伝えておいてくれ。
――行くぞ佐伯。」
「ハイ。」
命は洋一にそれだけ言い残すと
佐伯を引き連れ会計を済ませ、足早に店を出て行った…
※ ※ ※
命達と別れて30分後…
洋一はまだ具合悪そうにしている浩介に肩を貸しながら
駅までの道のりをノロノロと歩く
「うぅ…ごめ…っ、洋一……こんなつもりじゃあ…」
「いいっていいって!
ただ――浩介が目上の人に対してあんな態度を取るなんて思いもしなかったから
俺、少しビックリしちゃった…」
アハハッ――と笑いながら洋一は自分の肩に回された浩介の手をポンポンと叩く
すると浩介が急に何かを思いだしたかの様にその場に立ち止まり…
「あっ!そうだ洋一…ちょっと待て。
俺…お前に渡すものが――」
そう言うと浩介は手に持ってた鞄をゴソゴソと漁りだし…
中から丁寧に包装された箱を取り出すと――
洋一にスッとソレを差し出した
「え……何?コレ…」
「出世祝い。気に入ってくれるといいんだけど――開けてみ?」
洋一は言われて箱を包んでいる包装を丁寧に剥していく…
すると中には高級そうな腕時計が一本入っていて――
「ッ!?こんな高そうなのをわざわざ?!
…俺の為に出世祝いなんて買わなくてもよかったのに…」
「…嬉しくなかったか…?」
「!ううんっ!スッゲー嬉しい…っ!有難う浩介…
大事に使わせてもらうよ。」
「…そう言ってもらえると、選んだ俺も嬉しいよ…
ホントはさぁ……首輪にでもしようかなぁ~って思ったんだけど――
丁度良いのがなくってなw」
「ッ!お前はまたそういう…っ、」
洋一はちょっと泣きそうになりながらも
わざと茶化す浩介の背中を片手で軽く押すと…
2人はふざけ合いながら駅へと向かった…
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