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いざ、決戦のバトルフィールドへ…
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パーティー当日…
パーティーが行われる時間、19時を前に
洋一は命行きつけの美容室で髪型などをセットしてもらい
少しばかり照れ臭そうに俯き加減で店を出る…
するとそんな洋一に向け、声がかけられ…
「…よく似合っているぞ。皆瀬…」
「あ……有難うございます…
そのっ…、命さんも素敵…です…!」
「!そ…、そうか…」
フォーマルスーツに身を包み…
髪型もバッチリと決めた命が黒塗りのリンカーンの前で佇(たたず)み
美容室から出てきたばかりの洋一を出迎え
洋一も命同様――
一昨日届いたばかりのフォーマルスーツに身を包み…
照れ笑いを浮かべ、セットしたばかりの前髪を軽く弄りながら
命たちの元へと歩み寄ると…
命も洋一も互いに頬を紅く染めながら
何故かお互いの姿を歩道上でマジマジと見つめあってしまい…
「見て!あの背の高い人…!チョーカッコイイ!!」
「フォーマルスーツ着てるって事は、これから結婚式にでも出んのかなぁ~…
それにしてもカッコ良すぎ…ヤバイ…」
道行く人達が命たちに(主に命に)見惚れ
小声でヒソヒソと話しながらながらその場を去っていく…
その様子にハッと我に返った命が軽く「ン”ン”ッ、」と先払いをすると
洋一に向けて手を差し伸べ…
「…それでは――余り気は進まんが…
パーティー会場に向かうとするか。皆瀬。」
「は…はい!」
洋一は顔を真っ赤にしながら差し出された命の手の上に軽く自分の手を乗せ…
命にエスコートされながら後部座席へと乗り込み
それに続いて命も後部座席に乗り込むと
今までその様子を黙って見ていた佐伯と山下も運転席と助手席にそれぞれ乗り込み…
やがて車は静かにその場から動き出す
「それで――具合の方はもう…大丈夫なのか…?」
命が隣に座る洋一を気遣いながら声をかけると
洋一は上気した頬に少し虚ろな目をしながら応え…
「まだ少し…フラフラしますけど…大丈夫です…」
「そうか……すまないな。
βなのにΩの抑制剤なんか飲ませてしまって…」
「いえ…」
パーティーの支度を始める数時間前…
散々悩んだ挙句、結局パーティーに洋一を連れていく事に決めた命は
せめて洋一の匂いをどうにかして抑えられないものかと
物は試しにΩのヒートを抑える抑制剤を通常の半分以下にして
洋一に飲んでもらったのだが――
結局洋一の匂いは収まる事は無く…
それどころか洋一は少し頭がボーっとしてフラフラすると訴えてきて――
今に至る
「本当にすまない…」
「命さんのせいじゃありませんよ。俺も――自分じゃ分からないけど
この匂いを抑えられるものなら抑えたかったし…それに――」
「それに…?」
「あ…いえ――何でもありません…」
「???」
洋一はそう言うと俯き、押し黙る
―――やはりこんな状態の皆瀬を連れてくるべきではなかったか…
俯き…少し辛そうに呼吸を荒げながら目を瞑る洋一を心配そうに見つめながら
命は自分の決断を後悔する
―――だが……俺はもう――片時も皆瀬の傍から離れたくは――
命が膝の上で組んだ自分の手を見つめながら悩んでいると
トン…と肩に重みを感じ…
命がそっと肩の方に視線を向けると
そこには洋一が目を瞑ったまま寄り掛かってきていて――
―――何だ……寝てしまったのか…?
抑制剤の副作用なのだろか
洋一はスゥスゥと寝息を立てて眠っており…
―――会場までは此処から車で30分近くはかかるだろうし――
このまま寝かせておくか…
おでこにかかる洋一の前髪をそっと指で軽く掻き分けながら
命が洋一の寝顔を見て優しく微笑む
―――本当は――会場には行かずに
このまま2人で何処かに行ってしまいたいのだが…
横山主催のパーティーをすっぽかしたりなんかしたら
父が何を言ってくるか…
命はそれを思い…憂鬱な気分になりかけたが――
洋一から漂ってくる気分を落ち着かせる良い匂いと
命に寄り掛かりながらあどけない寝顔で眠る洋一に癒され…
命は再び小さく微笑むと――
窓の外を流れる暮れ泥む夕日にその視線を移した…
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