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「…めんな…い。」
「ごめ…なさ…い」
「…くん。…ばなくん。…たちばなくん。」
誰かが僕を呼ぶ。
「橘くん!!!」
こんなに穏やかで心地がいい場所なのに
また夢を見てしまったようだ。
いつもの夢。
忙しくて最近見れてなかったのに
ハチに会ったからかな。
でも、忘れてはいけない。
これは夢じゃない。記憶だ。
僕が忘れないための呪い。
「…大丈夫ですか?」
起こしてくれたのは
中性的な顔立ちの綺麗な人。
制服を着ているからここの生徒か?
てことは男性なのか。
一瞬悩んでしまうほど、中性的な美人だ。
「突然すみません。
なんだか魘されてるようでしたので。」
「ありがとうございます…。
どうして僕の名前を?」
「ご紹介遅れました。
生徒会 副会長の涼宮 雅(すずみや みやび)と申します。
以後お見知り置きを。」
すごく丁寧な話し方のこの人は
生徒会副会長らしい。
生徒会!!!?
しかも副会長!!?
最近は徹以外は生徒会としか
関わりないな、僕…。
しかも すずみや みやび。
みやが続いて言いづらそう。
「生徒会ですからね
外部新入生の名前は把握しておりますよ。」
「あ、なるほど…」
「そんなことより
あなたは何故ここで仮眠を?」
お部屋には戻られないのですか?
そう聞かれた。
「あーなんか気持ちよさそうだなぁ、と。」
「まだ真夏ですので
せっかくの白い肌が焼けてしまいますよ。」
男が日焼けを気にするのか…?
それに僕は焼きたくても焼けない。
本当は健康的な色がいいのだけれど
赤くなってヒリヒリして終わってしまう。
日焼け肌の男はかっこいいと憧れて
日サロ通おうとしたらスタッフさんに
断られた黒歴史がある程にだ。
「あと、いくら夏とはいえ
夕暮れになりますと冷えてきますからね。
風邪を引かれてしまいますよ。」
や、優しい人だ。
「ご心配ありがとうございます。
副会長さんはどうしてこちらに??」
こっちまで丁寧な話し方になりそうだ。
「生徒会の業務と、見回りと
個人的な執務がありましてね。」
執務…?
あまり聞きなれない言葉に首を傾げながら
夏休み中も生徒会には仕事があることと
見回りもしないといけないことに驚いた。
「ほんとに生徒会って忙しいんですね!」
「誰かさんがサボりまくってるせいですね。
いる場所は分かってるんですよ。
大体屋上でしょうけど。
溜まった業務はみっちり本人にやらせます。」
あぁ…柊先輩か。
会計って予算とか、決算とか
なんか難しい計算しないとなんだろうな。
大丈夫なのかな?
「ふふっ。大丈夫ですよ。
サボり癖は目に余りますが
生徒会で1番計算が早いですし
1番金銭感覚がまともですから。
私たちも信頼してるんです。」
顔に出ていたのだろうか。
笑いながら説明してくれた副会長。
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