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「私の家系は代々神宮寺財閥に仕える
家令の一族。簡単に言えば執事のようなもの。
今は秘書を修業していますが
それも将来神宮寺財閥 跡取りである
鴇也様が家業を継がれた際、秘書として
お側で仕えるためのもの。」
会長と副会長は
ただ生徒会ってだけではないのか。
「家系の関係もあり、私達は幼い頃から
ずっと一緒でした。いかなる時も。
幼なじみと言えば聞こえは良いでしょう。
ですが、所詮は神宮寺家と涼宮家。
お側に居るのは将来のため。
私は全て神宮寺財閥の神宮寺 鴇也様に捧げる人生。
一時も離れることもなく、常に次の行動を予測し
行動を把握していなければいけない。」
ただ側にいるだけじゃない
神経をかなり使う。
しかもそれを幼い頃から。
「交友関係に選択などなく
鴇也様に得のある関係なのか
私が関わるのは神宮寺家、涼宮家にとって
利益のある場合。
大切な人なんて作る余裕などない。」
よく言う「親の引いたレール」みたいなものか。
「何度も逃げ出したいと思ったが
幼き頃からこの環境、この歩み方
逃げ出し方も、違う歩み方も
生憎私には分からなかった…。」
「だから、選べるのに
大切な人が作れるのに
あえて選ばず作らない僕が憎いと…?」
俯く副会長は少し震えていた。
「ばっかじゃねー?」
ガバッと顔を上げこちらを見る副会長。
目は見開いていた。
「確かにその人生は僕には分からないけど
しんどいんだろーなってのは分かる。
でも、僕は僕で理由がある。
必ずしも選べるから選んだ選択肢が
正しいとは限らない。
選択肢を誤れば人を失う。
なら最初から選ばなければ失わない。」
真っ直ぐ副会長を見た。
「なんだかんだ副会長は会長が好きでしょ。」
「…!」
「家柄がーとか人生がーとか言ってるけど
仕えてそばに居るのが心地良い。」
会長の側にいる副会長は
凛としていて素敵だから。
「僕はちょっと誤解していたかもしれないですね」
「誤解ですか?」
「副会長は損得でしか物事を考えられない
堅物かと思ってましたが育った環境が
そう考えさせるだけで、副会長の中に
会長は損得ではないし
今僕にこの話をしたのだって得はないでしょ?」
確かに…と言った顔をする副会長。
「私も少し誤解しておりました。
橘くんは賢い人でしたね。」
バカだと思われていたのか…。
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