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声
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長い1日が終わりに差し掛かってる。
周りのクラスメイトなんかはそれぞれ帰り始めてる。
雲行きが怪しい……雨が降るかもしれない。
早く帰って解放されたいのにこの女は俺が行くところ行くところに着いてまわる。
正直うざったい。
今日はこれで終わりだからと自分に言い聞かせて我慢する。
顔に出さないように精一杯の笑顔を向ける。
こんな引きつった顔で満足してもらえてるだけありがたい。
鞄に荷物を詰め込む。
隣にはまだ要がいる。
いつもなら控えめに、かえろー?って言ってくるのに。
「あのっ……佐伯君……」
俺を呼ぶ要の声。
弱々しいけど俺の耳にしっかり届いた。
あの女との約束なんて忘れて振り返ろうとしたその時。
「柊君、一緒に帰らない?」
現実に引き込まれた。
…声を聞けた嬉しさで要に振り返ってしまうところだった。
そんなことしたら要の写真がばらまかれるのに。
要の声に見向きもせず、女に向き直る。
「ん、いいよ」
また更に引きつった顔で笑って教室を出る。
要の為…………
要も俺のことを忘れれば辛い思いしなくて済む。
手っ取り早く俺を嫌えばいい。
嫌われればいいんだ。
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