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黒い傘 6
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濡れるたびに丁寧にタオルで拭いても、たまには広げて乾かしてやらないとカビが生える。そう思ってミナギが寝ている時に黒い傘を持ったら「触らないでっ!」と目を覚まして取り上げられた。
黒い傘を両腕でしっかり抱いて、威嚇をして。だが持った時にわかった。見た目は普通の傘なのに、ズッシリ重かった。
ただの傘じゃないんだなと言えば、そこでようやく「いずれは話さないといけないことだよね」と教えてくれた。
表向きは日傘兼用の傘。けれど実はミナギが仕事で使えるように作られた、仕込み傘なんだと。
開いて、手元のボタンを押せば弾丸を防ぐことのできるほど丈夫な盾に。閉じた状態でさっきみたいに振り下ろせば鈍器、別のボタンを押せば骨の部分から刃が出て剣として斬ることができる。
極めつけは、銃。取っ手の部分を握り先端を対象に向け、取っ手部分の引き金を引けば先端から弾丸が発射されるらしい。
前の飼い主のお手製だとか。近くで見せてもらったが、全く仕組みがわからなかった。ミナギはたまに、これのメンテナンスをしている。
そしてやっと納得がいった。ミナギと出会った時、ブラッディバースデーの犯人があんなにもボロボロだったのは。ミナギがこの傘を使って戦ったから。
黒い傘が万能で性能が良くても、使うのは子供。相手は軍人レベルだったのに、よくあそこまで追い込んだものだ。……少し、引っかかることもあるが。
なんとなく違和感があるだけで、何がどう引っかかるのかはわからない。事件は解決したんだ、とりあえず今はいいか。
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