アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
黒い傘 11
-
今さっきの様子が嘘のようだな。まるで小さな子供のようにテンションマックスではしゃぐミナギ。タピオカ人気、恐るべし。
蛇行する車を必死になだめ、ミナギを叱ろうと思ったが。だめだな。ずっと輝いていて、笑えてきた。
「藤代さんと一緒に行けるなんて。あ、食わず嫌いはダメだよ?店のメニューには全部タピオカが入っているんだから、藤代さんも、もちろんタピオカを食べるんです」
「げっ」
「絶対に美味しいから!僕が保証する。あ、わかった。僕と一緒だったら、絶対美味しい。なんてね、ニヒヒヒッ」
マジかよ。あんな得体のしれないもの、俺には一生関係ないと思っていたのに。ワクワク満点なミナギの顔を見ていたら、ミナギへのお礼として付き合ってやるかと苦笑。
タピオカを食べたことのないやつに美味いって保証されてもな。それにミナギと一緒だったら美味しいって、お前は秘伝の隠し味か?
きっと俺はミナギのことを半分も知らない。前の飼い主ほども信頼されていない俺に、ここまで楽しそうにしてくれるのか。
こんなにも弾けた、可愛い笑顔を見せてくれるのか。眩しい。俺には眩しすぎる。
こんなに眩しくても、ミナギが俺に隠しているものは輝くことのない真っ黒な闇。ずっと俺に見せないように、しっかり両腕に抱えて守っている。
不思議な少年――もう青年か――のミナギは、一体どんな味がするんだろうな?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 123