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未知との出会いモッチモチ 8
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太くて黒いストローが刺さったカップを2つ手に、俺は店を出た。クリーム色っぽい黄色の、下に黒い粒が見えるカップをミナギに渡す。
「これが食べたかったんだろ?俺に合わせないで好きなものを選べ」
俺のは、茶色の下に黒いツブツブが見えるカップ。へぇ、この黒いツブツブがタピオカか。テレビで見るよりデカいな。
32とはいえ、オッサンが若い男と一緒にタピオカドリンクを片手に商店街って。絵面的にヤバい。周りの人のチラ見が痛い。
「藤代さんには僕の考えてることなんて、全部お見通しなんだ?」
「そうだな。お前は見ていてわかりやすい。毎日一緒にいるし、5年も経つと少しの変化でも気づきやすいっていうか……」
「嘘つき」
突然、ミナギの機嫌が悪くなった。怒っているというか、静かになってタピオカ入り杏仁マンゴースムージーを手にスタスタと歩いて行ってしまう。
おい、急にどうした?声をかけても、ミナギは足を止めない。漆黒の長めの髪が、シャンプーのCMみたいにリズムよく揺れるだけで俺との距離がみるみるうちに空いていく。
……同じのが良かったか?なんて、今さら後悔しても遅い。これ以上距離が空いてミナギを見失わないように、走って腕をつかんだ。
「ごめんなさい。何でもないから。…………そうだよ。藤代さんが僕のことなんて、わかるわけない」
「ん?今、最後の方で何か言ったか?ボソボソでよく聞こえなかったが。もしかして冷たすぎて腹が痛くなったとか――」
「んー、大丈夫!新しい服を見たいんだけどさ、さすがにコレ持って店に入るわけにもいかないし。ここで座ってじっくり味わおう!いざ、未知との出会い!」
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