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現役の警察は元警察の犬を愛している 17
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「ここにこんな傷ができるなんて、思いもしなかった。噛みつかれるなんてってのもそうだけど。僕は元警察の犬で、首輪付きだったから。ここにはいつも僕を監視する、いつでも僕を殺せる首輪があったから」
「ミナギ……」
「今でも覚えてる。あの人に首輪を着けられた時のこと、着けられた後に首輪の意味を知らされた時のこと。あの人は、僕の頭に手を乗せて『お前が優秀過ぎるからだ』って辛そうにしてた」
そりゃあそうだろう。手元のスイッチ1つでいつでも、ミナギを殺すことができる。しかも、どこで何をしているか、体の状態など全てのデータがわかる監視の首輪。
そんなものを、幼い子供の首につけるなんて。飼い主を引き受けた覚悟はあっても、人間として心が痛んだはずだ。
「あの人が辛そうな顔するの、嫌だったからさ。頭の上の手を両手で握って『大丈夫です』って言ってみた。そしたら、目の前にスイッチを見せたんだ。あの時、1番怖かった」
きっと、前の飼い主の彼は○○君に必要以上の情が湧かないように線を引いたんだろう。
飼い主と警察の犬であることを、○○君にも自分にも見せつけるためにスイッチを見せた。自分には逆らえない、怖い存在なんだと教え込む、しつけ。
だが俺は思う。装着したら最後、死ぬまで外すことのできない首輪。そのスイッチは彼が死んでからも見つかることがなかった。彼は、スイッチを壊し放棄していたんだと。
「そんな嫌そうな顔しないでよ。がっつり、“嫉妬してます”って書いてあるよ」
「首輪が外れたのは奇跡だな。お前、いつも前の飼い主の話をするとお前がどれだけ慕っていたのかがよくわかるからな。そりゃあ嫉妬もするさ。だが、ちゃんと会って話をしたかった。また話をしてくれ」
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