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平凡なオメガの大学生ですが、この度『自称女嫌い』のインキュバスを拾いました。
自称女嫌いのインキュバス!? 2
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「……そういえば、さ」
茶碗からご飯が半分ほど消えた頃。俺はふと思い立ってアレクシスに視線を向けた。奴はきょとんとしていた。
(美形って、どんな表情をしていても美形なんだな……)
そんなことを思いつつ、俺は茶碗と箸をローテーブルの上に置く。
「お前、家は何処だよ」
そうだ。俺と同年代に見えるし、身なりも悪くない。空腹で倒れるようには見えない。
「それとも、家出したとか、そういうことか?」
でも、そうだとすれば納得がいく。家が嫌で逃げ出してきた。その過程で、お金が尽きた。そう考えるのが妥当だろう。むしろ、それ以外になにも可能性が思い浮かばない。
「……遠からず、近からずって感じかな」
「は?」
しかし、アレクシスの言葉は歯切れの悪いもので。今度は俺がきょとんとする番だった。
「……うーん、これ、話していいのか分かんないんだよね。信じてくれるかも、わからないし」
アレクシスが、少し困ったように眉を下げてそう言ってくる。そして、アレクシスも茶碗と箸をローテーブルの上に置いた。
「アレクシスは、訳ありか?」
「うん、まぁね。あと、アレクシスって長いからアレクって呼んで」
「……アレク」
対して短くなっていないように思う。けれど、覚えやすいことは間違いないから、今後こう呼ぼう。
……今後があるのかどうかは、わからないけれど。
「俺は、この世界の人間じゃない」
が、そんな俺の疑問は一気に飛んだ。……この世界の人間じゃない? は?
「いやいや、冗談きついって……」
俺の頬が引きつるのがわかる。だが、アレクは顔色一つ変えない。それどころか、真剣な表情だ。……え、もしかして――。
「ま、マジ……?」
確認とばかりにそう問いかけた。アレクは、静かに頷いた。
「っていうか、正しくは人間でもない。俺は、淫魔なんだ」
「……淫魔」
淫魔って、あれだろう。男の精を吸い取るとかいう種族の、女。……って、目の前のこいつは何処からどう見ても男なんだけれど。
「淫魔にはサキュバスとインキュバスがいる。メジャーなのはサキュバス。女の姿をしている」
「……ってことは、お前はもう片方の」
「そう、インキュバスなんだ」
……うん、ちっとも信じられない。
目の前にいきなり人外が現れて、信じろというほうが無理なのだ。そう思って、俺は眉をひそめた。
「俺は十年ほど前から日本で生活しているんだけれど……」
「……あぁ」
もう、突っ込む気力も起きない。その所為で額を押さえて項垂れていれば、アレクが言葉を詰まらせたのがわかった。
まだ、なにかあるのだろうか。恐る恐る、アレクを見つめた。奴は、乾いた笑いを零していた。
「俺、女性が苦手……っていうか、嫌いでさ。つまり、性行為が出来ないの」
「……なんの恥じらいもなく、そんなことを言うんだな」
もしかしたら、インキュバスにとってこれは恥じらうことではないのかもしれない。そう思いなおした。
というか、サキュバスは男の精を吸い取るんだろ? その過程は性行為。じゃあ、その逆のインキュバスが女と性行為が出来ないっていうことは……。
「空腹って、そういうことか……?」
一瞬で理解した。理解してしまった。自分の頭が、憎たらしい。
「そうそう。まぁ、普通の食事でも一時的には腹は満たされるんだけれどね。でも、定期的に性行為をしたほうが、いいんだ」
ニコニコと笑って言う問題じゃない!
そう突っ込もうかと思ったが、やめた。だって、アレクにはなんていうか、怒っても無駄だと思うと言うか……。
「性行為って、何処まで」
「そりゃあ、最後まで。けど、キスとかでもほんの小さなものは得られるよ」
どうやら、最後まではしなくてもある程度は得られるらしい。だったら。
「だったら、適当な女捕まえてきてキスしてきたらいいじゃんか……」
お前みたいな容姿だったら、ナンパすればあっという間に捕まえられるだろうに。
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