アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
小池視点②
-
ボロボロの安アパートの駐輪場に自転車を止めて部屋に入る。
中卒の俺は何とか見つけたコンビニのアルバイトで毎日を食いつないでいる状態だ。
プライバシーなんてないような薄い壁にトイレと風呂と寝る場所だけがある狭い部屋。
そこが俺の唯一の安全地帯。
特異体質のΩに産まれた俺は1個1650円(消費税込)もする抑制剤を毎月2週間分購入しなければならない。孤児院で育ったために庇護してくれる親もいないため、中学卒業を機に孤児院を出て、このアパートを何とか探し出しバイトをしながらほとんどのお金を抑制剤に費やす生活を2年続けていた。
ずっと続けていたバイト先のコンビニの上司が変わり、新しい上司が無類のΩ嫌いだったため、一方的にクビにされたのが数ヶ月前。
なんとか見つけた今の職場は皆優しくてとても働きやすい。前の職場よりも少しだけ給料がいいのもラッキーだった。
夜の方が時給がいいから夜働いているけど結構慣れたものだ。
お腹が空いたから、スーパーで大安売りされてた1個10円のもやしを茹でて、ちょっと贅沢しようと思って買った1個250円もするごまドレッシングを少しだけかけて食べる。
「うん、美味しい」
花絵さんには痩せすぎだと言われるけど、自分の食費に当てるお金が無いため太ることは一生無理だと諦めている。
世間ではΩを守ろうっていう活動が盛んで、昔と比べたら扱いは凄く良くなったって大人は言う。その代わりβの価値が下がったって勝手にΩを逆恨みする人も増えて来ていた。俺を辞めさせた上司もそのタイプだったな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 3