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あーめんどくせえ。なんで、俺が買い出しという一番損な役回りになっちまったんだよ!ったく。
今俺は、俺の部屋で飲み食いしまくってる友達の為に何故だか買い出しをしている。世の中残酷だ。酒が極度に弱い俺は酔ってないからという理由だけでここに出された。
最悪だ…人の部屋に来るなら自分の酒ぐらい用意してから来いっての。
コツンッ
「あ、すみません」
振り向いた瞬間、すれ違った男性に肩が触れた。謝ったつもりだったけど遅かった。その人は、よろめいてそのままカゴの荷物と一緒にスーパーの真ん中で転けてしまったのだ。
深夜だからそんなに人はいないみたいだけどすごく恥ずかしそう顔を赤くしてしまっている。
「あの、ごめんなさい。前見てなくて」
彼のカゴの中から落ちてしまった商品を、持ち上げ彼の方を向く。
「い、いえ、こちらこそごめんなさい」
彼は小さくペコりと礼をして顔を上げた。
その時俺は正直に思った、綺麗だって。肩幅が小さく髪の毛はしばらく切っていないのか少し長めで、前髪から覗く瞳はキレイな輝きを持っている。そのキラキラとした瞳が俺の目を離さない。
「あの、それ、ありがとうございます。」
「あ、すみません!ずっと持ってて」
さっき落としてしまった商品の一つ、洗剤を俺は持ったまま戻していなかったのだ。だから急いで彼の持っているカゴに入れた。
「本当にごめんなさい。じゃ、じゃあ。」
俺は胸の鼓動を感じながらその場を後にした。
そういえば、酒だ。酒を買ってかなくては。俺も一缶くらい買って行くか、アルコール弱いの。
酒をカゴいっぱいに入れて、レジまで行く。すると前に、店を出て行こうとしてるさっきの人が見えた。そして、あの人が商品を入れていた場所に行くと白い財布があった。たぶん彼のだ。
あーーー!めんっどくせぇ!!
さっさと自分の買った酒を袋に入れて、財布を掴み店を出た。
「ねえ!さっきの人!財布、忘れてますよ!!」
「え、あ、僕のだ。ありがとうございます」
「気を付けた方がいいですよ。その、ここんとこ物騒ですし」
そういうとその人はオドオドとした顔をしてこちらを見る。
そして財布を渡し、挨拶して帰って行った。
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