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淫魔の血を引いていた俺が、学校一の人気者にハメ倒されちゃった話
近付く距離2
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「なあここわかる?」
「どこ?」
「問四のとこ」
自習中に出された課題を済ませてしまおうと、俺はテーブルの上にプリントとノートを広げた。黒畑が「俺も持って来れば良かった」と拗ねたように唇を尖らせていたのは最初だけで、懇切丁寧に教えてくれるのだった。
「すげ、めっちゃわかりやすい。ありがとう」
「どういたしまして。いい復習になるわ、俺も」
こういうことをさらっと言ってのけるあたりが、人気の理由なのだろう。
ぱっと顔を上げると、頬杖をつきながらニッとはにかむ黒畑の顔がすぐそばにあった。思っていたよりも近くにあったその距離に、妙にどきりとしてしまった。
一緒に連むグループも趣味趣向も何もかも異なる俺たちは、教室で必要最低限の会話しかしない。この場所でだけ素の自分で話すことができる。
「木戸さあ。香水つけてたりする?」
ずっと思ってたんだけど、という黒畑の前置きに身構えた俺は、ふるふると首を横に振った。
「特につけてないけど。匂う?」
「うん。甘い匂いするから、どこのだろうって。気のせいか」
「甘い匂い? どんな?」
「何つーかお菓子みたいな甘ったるい匂いじゃなくて。バニラ系の香水っぽくもねえし。近い匂いが思いつかねえんだけど……これまで嗅いだことないようなすげえいい匂いする。フシギ」
俺の頭の中に、淫魔の文字が過ぎった。
何事もないせいですっかり忘れていたけれど、もしかしたら何か身体に異変が起こっているのだろうか。とは言っても、覚醒なんて大袈裟な言葉が冠されるだけの異常に見舞われている自覚もない。
帰ってから母さんに詳しく聞けばいいか――そう楽観的に考えていたのが、間違いだった。
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