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年明けの正月に結婚式を控えたある日のことだ。
高校時代の親友である文也から電話がかかってきた。
「俺のところにも届いたよ。結婚式の招待状」
回りくどい挨拶は抜きにして、さっそく出席の可否をたずねてみると、どうやら彼は今、アメリカのロサンゼルスに住んでいるらしい。
日本とは半日くらい時差があり、彼なりに遠慮してか休日の朝から連絡をよこしてきた。向こうはまだ週末の深夜だった。
「本当にすまないが、どうしても都合がつかなくてな。しばらく日本に帰れそうにない」
「いやいや、いいんだ。気にしないでくれ。仕事のほうは順調か?」
新居のキッチンでコーヒーを淹れている私の隣には、すでに入籍だけ済ませている妻の咲希がいた。
これから夫婦として一緒に暮らすために、引っ越しの荷物を開けている最中だった。
「それにしても、まさかおまえが結婚なんてな」
とうとう先を越されちまったか――と文也は冗談めかして言った。
「一体それはどういう意味だ?」
私は調子を合わせて軽口を叩く。――ねえねえ、誰なの? と電話口で聞き耳を立てている咲希を鬱陶しがりながら。
「かくいう俺だって、おまえの結婚を祝ってやりたい気持ちは山々なんだが……」
「だから気にするなって。大きな声じゃ言えないけど、僕だって本当はめんどくさいと思っているくらいだ」
いよいよへそを曲げた妻が離れていったところで、私は皮肉まじりに本音をこぼす。
「じつはもう何人かに声をかけてあるんだが、もしよかったら、久しぶりにみんなで集まってバチェラーパーティーを開催しないか?」
「バチェラーパーティーだって?」
「もしかして知らないのか? 結婚前夜に男同士で飲み交わして、独身最後の思い出を作るんだ」
「それはまあ、聞いたことくらいはあるけど」
「いずれ子供が生まれて父親になったら、昔みたいに自由に遊べなくなるだろ? だから、今のうちにやり残したことを済ませておくのさ」
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