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聖夜の嫉妬
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登場人物
春馬(はるま)…Ω、気が強い所がある、金髪
暖(だん)…α、社長子息、人当たりが良い
気に入らない。俺という番がいるのに何でニヤニヤしてるんだ、アイツ。
俺の番である暖は、「料理を取りに行く」と言って今、他のΩに囲まれている。
折角のクリスマスなのにどうしてこんな事になっているのか、それは暖が社長子息であるからだ。西園寺家といえば有名財閥の一つである。暖は、将来的に社長になる。その人脈を広げるために招待されたのがこのパーティーだ。
会場には何人ものαが居て、入った時はかなりビビった。一人にされたら、壁に寄りかかって暖の帰りを待つことしできない。暖を囲んでいるΩ達の数人は、俺の方を見てコソコソ話している。どうせ、俺が暖の番に相応しくないとか言っているんだろう。見た目もΩっぽくないし、目つきだって悪い。この場所にも、暖の番としても釣り合ってないのは、自分だって分かっている。
ハッキリと言ってくれた方がまだマシだ。視線が痛い。その目が似合ってない、不釣り合いだと言っている気がする。
「ごめんね、ちょっと絡まれちゃって」
考え事をしていると、暖が帰ってきた。
「ふーん、絡まれたね…」
(嘘つけ…、ニヤニヤしてた癖に…)
受け取った皿には、俺の好きなものばかりがのっている。こういうところは気を使える癖に、なんでさっきの奴らは早く躱さなかったんだ。
暖はαということで体躯も良く、顔も整っていて高学歴。しかも、α性を自慢したり、Ωを差別したりしない。柔和な雰囲気で話しやすそうな感じだ。だから、目を離せばすぐに女に囲まれる。あわよくばワンナイトとでも思っているのだろう。まぁ、暖自身は俺にしか興味がないのだが。
そもそも、俺達が番になったきかっけは、一目惚れだ。俺が好きになった方ではなく、暖の方から俺を好きになったのだ。暖曰く俺達は「運命の番」らしい。らしいというのは、俺はそれを迷信だと思っているからだ。身体の相性が良いのも分かるけど、暖を見てもビビッとくる感覚はなかったし。
番の俺から見ても暖には、華奢な女の方が似合っていると思う。色々なドレスを来て胸元の開いた服を着た女達はとても綺麗だ。俺がαだったら、こんな目付きの悪いΩよりも胸の大きい女と番になるだろう。
どうしても、こういう場所に来ると悲観的になってしまう。美味しい料理につられて付いてきたのが間違いだった。
(早く帰りたい…)
しかし、飯に罪はない。普段滅多に食べないステーキやらチキンやらをたらふく食べた。美味しい料理を食べて、満足した。しばらくすると尿意が訪れた。
「トイレ行ってくる」
「はーい、行ってらっしゃい」
暖に見送られ、会場から出て、個室のトイレに入る。
「ふぅ……」
トイレを終えて会場に戻ろうとしたら、目の前に先程まで暖を取り囲んでいた女達が現れた。
「貴方…、さっきまで西園寺様の隣に居た方?」
「そうですが、何か…?」
「いえ、別に特に話す事ないのだけれど、ねぇ…」
女は、振り向くと他の取り巻きみたいな奴らと嫌な笑みを浮かべた。
「……」
(馬鹿にされてる…)
男の俺でもなんとなく雰囲気で察した。本当に面倒臭い。俺は、言い返す事もしなかった。女達を睨みつけて、暖のところに戻る。暖は俺が隣にいない間にまた、別の女達に囲まれていた。
(すごく、イライラする…)
「もう帰る」
女達を追い払って、暖の服の袖を掴んでそう言った。
「……何かあった?」
暖は不思議そうな顔で尋ねてきた。
「何にもない、…ご飯食べたし、もう帰る」
(本当は、デザートまだ食べてない…)
それでも、これ以上ここに居るのは耐えられなかった。
「分かった。じゃあ帰ろっか」
暖は、それ以上は何も言わなかった。俺達は手続きをして会場をあとにした。
車内には、カースピーカーから洋楽が流れている。信号待ちの間、綺麗な横顔を見て、ふっと頭に沸いた疑問を問いかけてみた。
「なぁ、俺のどこが好きなの?」
「えっ、急にどうしたの?」
「あー、気になったんだよ、何で俺だったのかなって。さっき女に囲まれて嬉しそうにしてたから…」
「え、してないよ、困ってたけど、嬉しくはなかったよ」
(嘘つけ…)
「はぁ?してただろ、楽しそうに話してさ…嫌ならさっさと躱せばよかったじゃん…ニヤニヤして鼻の下伸ばしてたくせに」
「見てのなら、分かると思うけど、本当ニヤニヤしてないって……」
「いや、してただろ…」
いつまで経っても、女達と楽しそうにお喋りしていたことは認めなかった。その事に、すごくイライラした。
「もう、いいっ!お前なんて、他の女と番になっちまえ」
ついにヒートアップして、思ってもいないことが口をついて出た。
「は?それ本気で言ってるの?」
止めた方が良いと分かっていながら、一度口から出た言葉が止まらない。
「本気だよ、本気なら何かあるのかよ」
「はぁ、家に着いたら覚悟しておいてね」
「……っ」
信号が青に変わり、またも車内はカースピーカーの音だけになった。
俺は、窓の外に目を向けた。折角のクリスマスに喧嘩なんてしたい訳じゃなかった。あんな所に行かなければ、今頃は二人で楽しくケーキを食べていただろう。どうして、こうなってしまったのか。暖が、番が、他の奴らと話しているのがとても気になってしまう。その結果、一人で暴走して喧嘩してしまった。謝れば良いんだろうけど、それも自分プライドが許さない。つくづく、自分はめんどくさい男だと思う。
「はぁ…」
道行くカップルを横目に、ため息を零した。
数分後、車は二人で暮らしているマンションに着いた。マンションの駐車場に車を停め、降りる。
「待って…」
先に車から降りた暖に手首を掴まれた。逃げるつもりは無かったけど、急なことに驚いてしまう。暖は焦っているように見えた。手を引かれたまま、黙ってついていく。
エントランスを抜け、エレベーターに乗り込む。手首は掴まれたまま、最上階のフロアに着いた。カードキーをドアに翳すと、カチャとドアが開く。
オートロックのドアが閉まる音。それと同時に手首を引かれ、抱きしめられた。シワになってしまうと思ったけど、強い力で抱きしめられて腕から逃れる事は出来なかった。
その時、ふわっと香った香水の匂い。人工的に作られた香り。それが、不愉快で気に入らない。さっきまでの怒りはどこかに行ってしまった。
「匂いが…」
「匂いが何?」
「香水の匂いがする」
「えっ、もしかして移ったのかな。そんなに、近かったことは無かったはずなんだけど…」
暖は、抱きしめる力を緩めて自分の腕の匂いを嗅いでいる。
「ふーん。」
(怪しい…)
「本当だって、信用できないの?」
「できない」
「そんなー」
多分、本当に自覚がないのだろう。狼狽えている。暖が困っているのが面白くて、さっきまで喧嘩していたのに、なんだか気が抜けてしまった。
「あっ、じゃあさ、一緒にお風呂入ろうよ」
「は?」
「僕が、春馬のことしか考えてないって、証明するからさ」
「……?」
なんでか分からないけど、一緒にお風呂に入ることになった。脱衣所で、着ていたスーツを脱ぐ。一緒にお風呂なんて付き合って間もない時か、発情期の間くらいだ。気恥ずかしさから、横目で暖を見た。すると、ちょうど暖もシャツを脱いでいた。引き締まった腹筋が露わになる。
(かっこいいな…)
つい見惚れてしまった。何もかもが俺と違う。Ωは体質的に身体に筋肉がつかないようにできている。筋肉を付けようと奮闘していた時期もあったが、諦めた。暖は、俺の身体に肉がつくと、安心するらしい。「いっぱい食べる、君が好き」というやつだ。
お互いが全裸になって浴室に入る。発情期の時はほぼ記憶がないから、とても久しく感じた。シャワーのコックを捻ると、勢いよく水が出た。
「冷たっ…」
身体がビクリと震えた。数秒立たずに、冷たい水がお湯になる。シャンプー、ボディーソープでお互いの身体を洗って、やっといつもの暖の匂いになった。不安の種は消えた。
じゃれあって抱きつけば、ほんのり石鹸の香りがする。一緒の匂いなのに、暖の方が良い匂いに思える。
突如、所謂壁ドンというものをされた。背中から伝わるタイルのヒヤリとした感覚。整った顔を下から見上げる形になる。これで、ときめかない女はいないんだろうな。まぁ、俺は男なんだけど。そんなことを考えていると、顔がグッと近づいた。
(あっ、キスされるんだ…)
発情期じゃなくても、性行為はしたことある。キスだって何十回もしている。触れる指先から、軽く上に向かされた顔から、キスされるんだって分かってしまった。なんとなく目を瞑ると、唇に当たる柔らかい感覚。
「んっ」
何度も触れるだけのキスをされた。薄く唇を開くと舌が隙間から差し込まれる。熱い舌が口内を犯す。自分からもその熱に触れてみる。すると、暖の甘い吐息が聞こえた。驚いて、目を開くと視線がぶつかる。欲情しているような瞳。その視線に、胸がドキリとした。
「はぅ、ん…ッ」
呼吸さえ奪うような、深いキス。送り込まれたものを必死に飲み込む。
「ふはッ…」
口を離すと、銀の糸が二人を繋いだ。飲み込み切れなかったものが口の端から垂れる。それを追いかけて、暖の顔が下がっていく。首筋から、鎖骨へ。鎖骨に唇が押し当てられ、吸い付かれる。ぴりっとした痛みが走り、赤い華が咲いた。同じように何度も吸い付かれ、鎖骨には何個ものキスマークが付けられた。
上目遣いで暖が俺を見る。
「ちゃんと、見て。ほら、僕が春馬を好きって証拠」
(証明ってこういうことか…)
「分かったから…あっ」
「ここにも、痕つけたい」
「ちょっと、そこはっ……」
暖の唇が乳首に触れる。そのまま咥えられて、チュッと吸われる。
「吸ったらダメ…、おっきくなちゃうから…っ」
「いいじゃん、僕にしか見せないのに」
「ヤダってっ…んん」
右は口で、左は手で刺激される。痛いのに、気持ちよくて熱が高まっていく。性感帯を触られて、勝手にこの先の行為を想像してしまう。そういう気分になって発情期でもないのに、後ろが濡れてきている。
「もう、やめっ」
「なら、前に向いて…、鏡に手を付けて」
「わかった……っこう…?」
言われた通りに鏡に手をつくと、尻を突き出すような格好になる。鏡に自分の姿が反射している。赤く熟れた乳首と触られてもいないのに、緩く立ち上がった自身が確認できる。恥ずかしくて、目を逸らしてしまう。
「あっ、あ」
指が中に挿入される。発情期は二か月前に終わっているため、解すのに時間がかかる。指が、円を描くように動く。狭い中を拡げられて、前立腺が刺激された。
「う、あっ…」
思っていたよりも解れていたのか、指が二本に増やされた。二本の指が、胎内を蹂躙する。グチュグチュとした卑猥な音が浴室内に木魂する。指の動きに翻弄されて、ひっきりなしに喘ぎ声が漏れた。
何度も前立腺が刺激され、指の本数も三本、四本と増えた。十分解れている。それなのに、責める手を暖は止めてくれなかった。
「うぅ、もうやだって…あっ、あ────っ!」
後ろだけで、イくのは難しくて何度も頭を振った。しかし、前を握られ一緒に後ろを刺激されて、ついに達してしまった。肩で息をしていると、暖が近づいた気配がした。
「気持ちいいでしょ」
「このまま、ここでするのと、ベッドでするのどっちが良い?」
「ここじゃ、やだ…。ベッドが良い…っ」
「仰せのままに…」
暖に支えられて浴室を出た。
濡れた体をそこそこにシーツに身を沈める。火照った身体が熱い。テーブルランプの灯りが二人を照らす。覆いかぶさった暖は、また後ろに指を入れようとしていた。もう一秒だって待てなくて声を掛けた。
「いいから、早く来てっ…!」
「春馬っ…」
暖自身も勃っているのが目に見えた。数回昂りを扱いた暖は、俺の腰を支えた。ゆっくりと熱が侵入してくる。最奥まで進まれ、下生えが腎部に当たる。
「あっ、んん……!」
いつもなら馴染むまで待ってくれるのに、今日は性急だった。風呂場で暖も興奮していたのかもしれない。腰が引かれ、内壁が蠢く。
「ねぇ、春馬は僕の事嫌い?」
「嫌いじゃないけど、…わかんない」
(急になんで…)
「ほら、ちゃんと答えてよ」
(好きって言わせたいのか…?)
「好きっ、好きだから…、あっ、はやい」
好きと言った瞬間に、腰の動きが早くなる。
「僕も春馬のこと好きだよ…大好き」
「んんっ…あぅ」
「ほら、一緒にイこッ…」
手前から奥まで一気に犯されて、耐えられなかった。俺がイったと同時に、中に熱い飛沫が散った。
「はっ、は」
呼吸を正していると、顔中にキスの雨が降ってきた。二回目ということもあって、だいぶ疲れた。あとは、全部暖に処理してもらおう。
睡魔に襲われ、暖の腕の中で眠りに落ちた。
side:暖
折角のクリスマスなのに2人きりで過ごせないのは残念だ。本当は、こんなパーティー断っても良かったと思ってた。だけど、嫉妬する春馬を見ることができた。本当にすごく可愛かった。
ずっと見てくるし、来た時より機嫌が悪くなっている。僕のことしか考えてないんだろうな。
春馬は会場にいる誰よりも可愛い。
自分に自信がないみたいだけど、僕はもっと自信を持って欲しいって思う。
パーティには、美味しい料理が食べれるならって、付いてきた。それも、可愛い。嫉妬したのか、車を運転している隣で膨れていた。喧嘩しちゃって、ちょっと焦っちゃった。家に帰って抱き締めた後、2人で洗い合いっこした。香水の匂いが気に入らなかったみたい。
僕は、こんなに春馬のこと好きなのになんで伝わらないんだろう。
まぁ、これからいくらでも時間はあるし、春馬が不安になる度に伝えて行ければ良いか。
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