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初恋の人。
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目が覚めた。
まだ30秒も経ってない時に。
部屋の一部からすごい物音が聞こえて、男の声が聞こえたんだ。
「、、、泥棒?」
僕は、少しだけぶるっと身震いした。
布団から出て、フライパンをキッチンから取り、片手に持って音がした方向え進んだ。
部屋へ着くと心の準備がないのにドアがあいていた。
これ、僕にとっては気絶並みの恐怖だよ。
だって、部屋の中に人が立ってるもん。
僕は、フライパンを上に上げて、その男をフライパンで思いきり叩いた。
叩いたといっても一発だけだよ?
まあ、本気の一発なんだけど、、
僕は、犯人の顔を覗きこんだ。
んん、、?
この顔、、見覚えが、、、。
、、なんか僕と似てるんだよなあ
背も高いし、、
誰だろ?
「って、、、」
「ん?」
一時間ぐらいで男は、起き上がった。
「あの、どちら様?」
「お前の兄だけど?なんでフライパンで叩いたの?ねえ俺を犯人扱いしたの?だから叩いたの?ねえこんなに可愛い俺の弟が俺を叩くわけないよね?それもフライパンで。ねえ、、これは夢?」
僕の兄は僕がすごく好きだ。
兄弟として。
「ごめんね。悪かったよ、、。」
僕は、一応謝っておいた。
一応ね。
一応。
まあ、お兄ちゃんには謝らなくてもいいんだけどね。
僕の兄は、翔(しょう)という名前で、海外から久しぶりに戻ってきたようだ。
「ここでなにしてたの?」
「荷物の整理。俺帰ってきたの。嬉しい?嬉しいなら正直にいいなね?俺まじ喜べるから。」
「あー。嬉しいな。」
「なんで棒読み!?お兄ちゃんちょっとショック!」
いちいちうるさいこの兄にどんな答えを返せばいいのか、、。
ただでさえ暑いのに兄がいるとさらに暑くなるよ、、。
「でさ、お兄ちゃんこれからここで暮らすじゃん?だからお前の世話してやれるんだよ、、。2年も海外にいたからな。あっもちろんお土産もあるぞ!はい。中国のお土産。」
お兄ちゃんから渡された紙袋にはぬいぐるみらしき物の頭が出ていた。
「クマ?」
「いやいや!中国といえばパンダだろ!クマとパンダの見分けもつかないお前も可愛いんだけどさ!」
「はっ?可愛い?」
「ああそうだ。お前は俺の中で一番可愛い弟だ!」
少しだけ嬉しくなった。
お兄ちゃんとまったく話してなかったから、今話しあってるのは夢なんだと思うくらい久しぶりだ。
「ていうか腹減ったわ。」
「ん?お腹空いたの?」
「そうだな~、、お兄ちゃん久しぶりに溯の手作りの飯が食べたいな~。俺の可愛い溯は作ってくれるよな~?」
なんか期待されてるけど、、。
、、まあいいや僕もお腹空いたし。
「なにが食べたい?不審者さん。」
「そうだね~。唐揚げが食べたいな~。んで溯さりげなく不審者扱いするなよ~。俺家の鍵もってるから入ったのに~。」
「はいはい。唐揚げね。」
僕はサラッと受け流した。
お兄ちゃんは、また騒ぎ出したけどおとなしく席に座ったようだ。
僕は冷蔵庫を覗いた。鳥肉が3パックぐらい入っていた。
僕は鳥肉を3パック全部取り出して、まな板においた。
鳥肉を取り出し、包丁で一口サイズに切ってボールに入れ、唐揚げの素を振りかけよく絡めてから油であげる。
6~7分ぐらいであがってきた唐揚げを皿に入れて、出来上がり。
「はいどうぞ。」
それを兄の前に置いて、僕も座る。
「いいにおいだな~。」
「いただきます。」
僕は唐揚げを一つ口の中にいれた。
「あちっ!、、ヒリヒリする、、」
「火傷した!?ちょいまち!」
お兄ちゃんは冷えた水が入った袋を持ってきた。
「これで冷やして!」
「ありがとう、、」
「どういたしまして!」
僕は唐揚げを美味しそうに食べる兄を横目で見ていた。
「溯。冷めてきたから食べられるんじゃないかな?」
「まだ痛いから今日はいらないや。」
「おう。俺頑張って食べる」
、、、お腹空いたな。
僕は冷蔵庫を開けた。
「ケーキだ。」
僕はケーキを取り出して机の上に置いた。
「あっ!それ俺が買ってきたやつじゃん!美味いよ?食べてみ!」
僕はフォークでケーキを食べる。
「痛っ!」
まだ痛みが引いてないからものすごく痛い。
「変わってないな。」
「、、え?」
、、、っ。
いきなり優しい顔になったお兄ちゃんに僕は少しズキッとした。
優しい顔なのにどこか悲しい顔をしているんだ。
「溯。」
「なに?」
「溯。」
「だからなに?」
「俺な、寂しかったんだ。溯がいないとなんか物足りなくてさ。溯の可愛い顔をした写真いっつも眺めてたの。」
お兄ちゃんらしくない言葉がいきなり出てきたから、僕は戸惑った。
「改めて久しぶり。」
「、、、。」
僕はお兄ちゃんから目を逸らした。お兄ちゃんの目を直視できなかったんだ。
お兄ちゃんがいまにも泣だしそうだったから。
「どうして目を逸らすの?俺を見てよ。話ずらい?」
「、、、うん。」
「そ、、、か。」
「、、、、。」
「、、、、。」
、、、気まずい。お兄ちゃんと気まずい事なんて今まで一度もなかった筈なのに、、、。
どうしてこうなったんだろう。
お兄ちゃんが悲しい顔するから、、、。
こうゆう時って、一人にした方がいいんだよね。
「ぼっ、、、僕、、。眠たいや!そろそろ寝るかな!」
お兄ちゃんの前なのに言葉がうまく出せなくて、目を合わせられなくて、
とても重たい空気だ。
これ以上ここにいると僕はきっと泣いてしまう。
僕は足早に自分の部屋に戻って、布団に潜った。
、、、お兄ちゃん、、。顔真っ赤にして悲しそうな顔してた、、。
声もカスカスで、、。
僕に触れてきた時にすごく熱く、、、。
熱く、、、、?
まさか、、、熱?
僕は布団から出てすぐにリビングに戻った。
「お兄ちゃん!」
「ん、、、なに?」
微かに辛そうな吐息が聞こえる。
「熱、、、うつしたくないから来ないで。」
「どうして我慢してたの!」
「、、、、迷惑、、かけたくないだろ?」
、、、胸が締め付けられる感覚になった。
僕は涙が出た。
「、、、なんで、、泣いてる?」
「、、、お兄ちゃんが、、」
「ん?」
「あの子みたいに、、、お父さんみたいに、、いなくなっちゃう、、、」
「、、さく、、。」
目の前が突然真っ暗になった。
今抱きしめられてるんだ、、。
「大丈夫、、、。熱が出たくらいで死なないよ。」
「お兄ちゃん、、、嫌だ、、嫌だよ、、、」
「お父さんみたいにいなくならないから。」
「大丈夫だよ。」
ーーあの日、あんな事がなければ父さんは死なずにいたんだ。
ーーー父さんは俺と溯の前で死んだ。トラックに轢かれて。
猫を助けるために死んだんだ。
あれ以来溯は、色々な事に鍵を掛けたんだ。
心の記憶を消すために。
溯はあの事を思い出すときっと壊れてしまうだろう。
「大丈夫だから。ゆっくり寝よ?」
「、、、、う、、、。」
俺は、意識が薄れるのを感じつつも溯を布団に入れた。
しばらくして溯が眠りについた時に俺は限界がきて、頭の痛さと辛さに耐えられずに溯の布団の中で眠ってしまった。
「ねえねえ。溯の好きな人は誰?」
「お兄ちゃんだよ!」
「俺も溯大好きだぞ!」
6歳の時にお兄ちゃんと話をしていた時の夢を見た。
もう僕の記憶に無かった夢。
「もし溯に好きな人ができて、そいつに裏切られたらお兄ちゃんが守ってやる!」
「うらぎられる?」
「溯はまだ1年生だからな!わからないか~。」
僕はまだ一年生だったから『裏切られる』なんて言葉の意味なんかわからなかったんだ。
「うん!好きだよ?」
「それと同じさ。」
あの時のお兄ちゃんの顔を思い出せない。
笑ってたのか、、、。
泣いてたのか、、、。
「お兄ちゃん!僕ね今日みきちゃんに好きって言ったよ!」
「よかったな!それで?」
「、、、さくの事好きじゃないんだって。」
僕はあの時振られたんだ。
みきちゃんに。
それで泣いちゃって、、おにいちゃんが慰めてくれたんだ、、。
「溯、振られることは俺にもあったぞ。お兄ちゃんにも好きな人がいたんだ。」
、、、そこからは、、お兄ちゃんお喋り好きだったから忘れた。
あまりにも長過ぎたんだよな、、。
でも、、真面目に聞いてたな、、僕。
それから、、、小学2年生の頃、、、。
「、、、ちゃん!!」
「ばいばい。」
「駄目だ!そっちは!」
「え?」
キイィィィィィィ
ーーーーーーーーーーーー
「、、、はあはあ、、」
目を覚ますとすごい汗をかいていた。
「 あれ?」
隣でお兄ちゃんが寝てる。どうして、、、?
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