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「そういえば病院は大丈夫なの?」
「あぁ、もう定期検診も必要なくなった。」
「記憶喪失かー。
漫画とかドラマでしか見たことないから
あまり実感湧かないけど…ってごめん。」
途中まで話して、経験をした
本人にそれを言うのは違うと思ったのか
素直に謝る天海。
「いや、別に。僕も正直
入院中のことは夢を見てるような感覚だったし
今でも記憶喪失の実感は湧いてなくて…」
「そっかぁ…」
「でも思い出した時、星夜が凄い
喜んでたから思い出せて良かったと思う。」
思い出せなかったら今まで過ごした
星夜との思い出も消えそうだし。
「星夜ってお兄ちゃんだよね?」
「そう。」
「お兄ちゃん大好きなんだね。」
「僕の世界には星夜が居ればそれでいいから。」
「綾瀬くんの思う好きってのは
お兄ちゃんとして?」
「どういうことだ?」
「えっと…綾瀬くん、お兄ちゃんの話するとき
凄い幸せそうなんだけど。
お兄ちゃんが誰かに取られそうになると嫉妬するでしょ?
酷い言い方かもしれないけど
綾瀬くんってお兄ちゃんに依存してる感じがして
前に家族のことを聞いたことがあったから
引き取られて、ずっとそばに居たのが
お兄ちゃんで唯一近くに居た人だから
兄弟愛を過剰に感じてるんじゃないかなって。」
天海には施設から綾瀬家に引き取られたこと
陸と星夜のことで言い合いになったことは
話してある。
「兄弟愛とか好きとかはよく分からない。」
「お兄ちゃんだって彼女いたことあるって言ってたし
いつかは結婚だってするかもしれないでしょ?
そうなったらいつまでも綾瀬くんと居れるわけじゃない。
それでも綾瀬くんは大丈夫なの?」
結婚…。
「僕は星夜とは結婚が出来ない。
だから、星夜が誰かと結婚して
誰かと子どもを作って、家庭を築く。
それが星夜の幸せならそれでいい。」
僕には星夜しかいないが
星夜の周りには色んな人がいる。
いつかは星夜も離れることは
覚悟しているつもりだ。
「そっかぁ。
ごめんね、難しいこと言って。」
「大丈夫だ。」
話もそこそこに
それぞれ訓練に戻った。
結婚か。
星夜があの家を出ていく。
星夜が誰かと共に暮らす。
僕じゃない誰かと。
小さな頃、僕をよく撫でていたあの手で
自分の子を撫でる。
そんな事を想像すると少し胸が痛んだ気がした。
「結婚ねぇ…」
帰り道、偶然会った島田と
天海と話した事を話しながら帰る。
「まぁ、あの人モテるし
結婚したい女は多そうだよなー」
そう笑う島田。
「でも、あの兄貴に限って
お前から離れることは無いと思うけど?」
「何故だ?家庭を持つということは
そっちを優先するものだろう?」
「まぁ、そりゃそうなんだけどさー。
お前らも"家族"じゃん?
それにあの兄貴がお前離れ出来るわけなさそうだし
あの人お前のこと大好きじゃん?」
「好きというのは分からないが
兄弟愛ってやつなんだろう?
幼い頃から僕の傍には星夜がいたから
兄弟愛を過剰に感じてるだけだと天海が言っていた。」
「だから天海って誰だよ。
まぁでも、ただの兄弟愛だけで
あそこまで甲斐甲斐しく出来ないと思うけど」
「てかさ、結婚できないってだけで
結婚そばにいれるならしてもいいって考えだろ?」
そう聞いてくる島田。
「日本では男同士の結婚は完全には認められていない。」
1部では同性婚への理解が深まり
可能なところも増えてると聞いたが
完全では無いから全員が全員とは限らないし
アメリカにいた僕は同棲愛に偏見は無いが
星夜は女の方が好きだと思う。
「本人同士の気持ちの問題だと思うけどなー。」
「気持ち?」
「そう。つまりあの人とセックスしたいかどうか。」
「セックス…交尾のことか?」
「交尾って…。人間は繁殖だけのためじゃなくて
愛を確かめ合うためにもすんの。
ってなに恥ずかしいこと言わせてんだよ!」
そう言って顔を赤らめる島田。
セックスか…。
「僕は星夜が求めるなら出来るぞ。」
「…お前、なんかたまに男らしいよな。」
そう言う島田と別れ家に帰る。
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